傾斜地に建築するメリット・デメリットとは?
傾斜地に建築されている別荘は意外と多くあります。
傾斜地の魅力とあわせて、傾斜地に建築するメリット・デメリットなど知っておきたい基礎知識を解説します。
「傾斜地」とは?
傾斜地とは文字通り、傾斜している土地のことをいいます。
似たような言葉がいくつもありますが、まずは簡単にそれらの違いから解説します。
「がけ」「斜面」「法面」「擁壁」などとの違いは?
建築基準法では「がけ」という用語が用いられます。
また全国の自治体の中には、通称「がけ条例」と呼ばれるものが存在します。
一方、不動産関連の用語では「がけ」「がけ地」「傾斜地」「斜面」などいろいろな表現があります。
いずれも法律上の明確な定義はありませんが、たとえば次のような捉え方をします。
「がけ」「がけ地」
傾斜や勾配が急で、そのままでは建築といった通常の使い方ができない土地をいいます。
傾斜角度に決まりはありませんが、一般的には30度を超えたくらいからこう呼ばれることが多くあります。
「傾斜地」「斜面」
同じく明確な定義はありません。斜めになっている土地全般をこう呼ぶのが一般的です。
法面(のりめん)
同じく傾斜している土地のことです。もとから(自然な状態で)斜めになっている土地もあれば、造成して斜めにした土地もあります。
擁壁(ようへき)は?
擁壁とは斜めになった土地ではなく、がけ崩れなどから建物を守るために設ける頑丈な壁のような構造物をいいます。
たとえば傾斜地を切土(きりど=切り出して平らな土地にすること)し、建築する場合などに建物を守るために設けられます。
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傾斜地に建築するメリット
傾斜地というと使い勝手が悪そうなイメージがあるかもしれません。
ですが傾斜地ならではというメリットもあります。
平らな土地よりも価格が安いことが多い
一般的に、傾斜地は平らな土地よりも安く購入できることが多い傾向にあります。
造成や擁壁といった費用がかかることもありますが、土地代を抑えられれば、建築により費用をかけることも可能です。
場所によっては眺望がよい
前方に遮る建物などがない傾斜地に建築すれば、素晴らしい眺望を手にすることもできます。
自宅から花火大会を眺めたり、夜景を楽しみながら晩酌をしたりなど、傾斜地ならではという魅力を存分に味わえるでしょう。
外からの視線が気になりにくい
同じような高さに建物がある市街地とは異なり、外からの視線が気になることはほとんどないでしょう。
カーテンやブラインドを開放すれば、夜は星空を眺めることもできますし、昼は太陽の光を多く採り込むこともできます。
ビルトインガレージなど地下部分を活用できる
平地の場合は意図して作らなければなりませんが、傾斜地に建築した場合、おのずと地下部分が生まれます。
使い方は自由ですが、ビルトインガレージや作業場など平地の建物とは一風変わった家づくりも可能です。
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傾斜地に建築するデメリットやリスク
多くのメリットがある一方、傾斜地に建築するデメリットやリスクも存在します。
地盤調査が必須
傾斜地の地盤が緩ければ建築できません。まずは地盤調査が必要です。
平らに造成された状態で売りに出されていた場合も、人工的に埋め立てる「盛土」または「切盛土」がなされていた場合、やはり強度を確認するために地盤調査が必要です。
地盤改良が必要なことがある
地盤調査の結果、傾斜地のもとからの地盤が緩かった場合、あるいは盛土や切盛土をしていて強度に不安があるという場合、地盤改良しなければならないことがあります。
傾斜地そのものは安く手に入っても、建築するために地盤改良で多額の費用がかかることがあります。
購入前にしっかり調査をしてもらうこと、地盤改良の工事も含めて総額いくらになるか確認しておくことなどが大切です。
擁壁の建設費用がかかることがある
土を積み上げたとき、崩れずにそのまま残る最大角度を「安息角(あんそくかく)」といいます。
この安息角を超える高低差がある土地に建築する場合、擁壁を設けることになります。
大きさや材質、形状などによって異なりますが、その分の費用が必要になることがあります。
また擁壁は、建設後に埋め戻されて新しい土が入ります。その地盤調査も必要になるでしょう。
すでに擁壁が設けられている土地であっても安心はできません。
劣化などにより強度が低下していることも考えられるからです。
倒壊といったリスクも拭えませんので、建築前に安全性を十分に確認することが大切です。
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傾斜地に建築する際にかかるのはどんな費用?
傾斜地に建築する場合、どういった費用がかかってくるのでしょうか?
土地の購入費用や建築費用以外に考えておいたほうがよいものをまとめました。
地盤調査費用
先ほど「必須」と申し上げた地盤調査費用です。
どういった調査をするのかにもよりますが、比較的低コストの「スウェーデン式サウンディング試験」でも5万円程度からといわれています。
地盤改良費用
地盤の強度を高めるには、鋼管杭を打つ、あるいは深基礎とする方法などが挙げられます。
鋼管杭は、本数や杭の長さなどによって費用が変わってきます。
地盤調査の結果をもとに、専門家と最適と思われる方法をよく話し合うことが大切です。
擁壁・造成費用
傾斜地のままでは建築できませんので、平らに造成する必要があります。
傾斜の度合いや面積、切土か盛土か、切盛土かなどによって費用が変わってきます。
また安息角を超える場合、擁壁の建設費用も必要になります。大きさや材質、形状などで費用が変わります。
雨水対策費用
傾斜地の上方から流れてくる雨水や、地面に浸透している雨水を、建物がせき止めてしまわないよう、どう流していくのか計画したうえで建築しなければなりません。
雑排水対策費用
下水道は高いところから低いところへ、自然勾配を利用して流すのが通常です。
しかし、傾斜地で下水道管の位置が建物よりも高い場合などは、新たに機械を設置して汲み上げる「ポンプアップ」といった対策が必要です。
湿気対策費用
お伝えしたように傾斜地に建築した場合、おのずと地下部分が生まれます。
土が接している面のコンクリートに防水層を設けたり、壁を二重にしたり、あるいは排湿を目的とした換気設備など、湿気対策が必要になります。
必要な工事や設備などはケースバイケースですが、このように傾斜地に建築する場合、平地とは違った対策および費用がかかるのが一般的です。
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傾斜地に建築する際に確認しておきたいポイント
続いて、傾斜地に建築する前に確認しておきたいポイントをお伝えします。
急傾斜地崩壊危険区域かどうか
都道府県知事が「がけ崩れ等によって危害がおよぶおそれがある」と指定しているエリアが急傾斜地崩壊危険区域です。
原則として、該当するエリアには看板が立てられています。
ですが、たとえ見当たらない場合でも自治体の防災対策課などに確認を取るなどして、問題ないことを確認しておきましょう。
宅地造成法改正後の造成かどうか
傾斜が緩やかとされる造成地でも、過去に地震などで地すべりが発生したことがあります。
その教訓から、2006年(平成18年)に「宅地造成等規制法」が改正されました。
災害対策をより強化する内容となっています。
建築を検討している傾斜地が、改正以後に造成されたものであるか必ず確認しておきましょう。
改正前に造成された傾斜地である場合は、改正後に講じられた対策の有無およびその内容について、所有者や管理者に確認しておきましょう。
傾斜地に建築されている「別荘」の魅力とは
ここまで傾斜地に建築する際の注意点などを解説してきました。
ところで、日本国内には傾斜地に建築されている別荘も多くあるのをご存じでしょうか?
代表的なところでは、日本有数の温泉地として有名な伊豆が挙げられます。
伊豆は、溶岩などで作られた硬い地盤をもつ土地が多いといわれています(すべてではありませんので、地盤調査は必要です)。
傾斜地に建築されている別荘の魅力について、最後に紹介します。
高層マンションに匹敵する眺望が得られる
視界を遮るものがありませんので、海や街並みを一望できます。
標高にもよりますが、都会の高層マンションに匹敵するほどの、美しい眺望が手に入るかもしれません。
もちろん外からの視線も気になりませんので、思いっきりカーテンや窓を開放して、くつろぎながら自分たちだけの景色を楽しむこともできるでしょう。
海を一望できる露天風呂も実現できる
傾斜地に建築された別荘なら、海を一望できる露天風呂も夢ではありません。
高級旅館などに行かなければ味わえなかったあの至福の時間を、自宅(別荘)にいながら楽しむことができればこれほど嬉しいことはありませんよね。
ただでさえ特別な別荘が、傾斜地に建築されていることで「より特別なもの」になるかもしれません。
傾斜地への建築は入念な調査と費用の準備を
傾斜地への建築にはメリットもデメリットもあります。
両方を正しく理解したうえで建築するかどうか判断しましょう。
また建築するにあたっても、地盤調査や必要に応じた地盤改良、造成や擁壁の建設などさまざまな確認事項があり、それぞれに費用がかかってきます。
安全のためにも、入念な調査と十分な費用の準備をしておきましょう。
これらを無事にクリアできれば、ほかでは味わえない最高の眺望や、ビルトインガレージといった傾斜地ならではという家づくりをぜひ実現させてください。
一方、別荘をお探しの方は傾斜地に建築されている物件を探してみるのも面白いのではないでしょうか?
せっかく別荘を所有するのであれば、そこでしか見ることのできない眺望、そこでしか味わえない感動を手に入れたいですよね。
「使っていない間に別荘を活用して貸したい」「別荘の維持管理のコストや手間を減らしたい」など、お悩みが増えやすい別荘所有。別荘活用のノウハウはなかなか一般化されておらず活用方法を調べるのも一苦労です。ハウバートは、軽井沢・箱根・京都など多くの別荘地や観光地で、「中古別荘の貸せる化プロデュース」を行ってきました。別荘活用や別荘売却にお悩みの方は、ハウスバード株式会社にぜひご相談ください。
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- 「別荘を買うだけでは節税できないと税理士に言われた」
- 「使っていないシーズン中には別荘を貸して活用したい」
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