コラム
古民家リノベーションの費用は?事例も紹介
古民家を購入してリノベーションする場合、費用はどれくらい見ておけばよいのでしょうか?
古民家リノベーションのメリット・デメリット、費用相場などを事例も交えて解説します。
古民家リノベーションの費用相場は?
古民家リノベーションにはどれくらいの費用がかかるものなのでしょうか?
もちろん、古民家の状態やどういったリノベーションをイメージしているかなどによって大きく変わってきますが、おおよその相場は知っておいたほうがよいでしょう。
1,000〜2,500万円といった事例が多い
部分的なリノベーションであれば500万円以下で済むケースもあるようです。
ですが古民家の場合、耐震補強や断熱性の向上、水回りも含めたフルリノベーションが必要になるケースも多くあります。
ケースバイケースのため「相場はいくら」と一概にいえないところもありますが、一般的には1,000〜2,500万円くらいに収まる事例が多いようです。
中には3,000万円超など大規模なリノベーションを行うケースもありますが、まずは1,000〜2,500万円あたりをひとつの目安と考えておくとよいでしょう。
「リノベーション」と「リフォーム」の違いは?
リノベーションと似た言葉にリフォームがありますが、両者は微妙に意味合いが異なります。
- リノベーション:既存の建物に新たな価値や機能性を付け加えること
- リフォーム:老朽化した部分を修復したり新しく改装したりすること
たとえば古民家をバリアフリー化し、キッチンを現代的かつ機能性に優れたものにするといった工事がリノベーションです。
一方、壊れていたり汚れていたりする部分を修復し、新築と同様の状態に戻すのがリフォームです。
賃貸マンションなどの場合、原状回復を指すこともあります。
古民家の場合、リノベーションと同時に部分的なリフォームを行うといったケースも多くあります。
古民家リノベーションのメリット
多額の費用をかけてまでリノベーションするのは、古民家がさまざまな魅力を持っているからです。
古民家リノベーションには、たとえば次のようなメリットがあります。
木材の強度が高く耐久性に優れている
古民家の柱や梁などに使われているのは、多くがヒノキやケヤキといった木材です。
これらは強度が落ち始めるまで800〜1,200年かかるという、非常に耐久性に優れた木材です。
建立から1,400年を超えるとされる法隆寺にヒノキが使われていることからも、いかに優れた木材であるかが分かります。
固定資産税が軽減される
固定資産税は築年数が経つほど安くなります。
一般的に、古民家と呼ばれるのは築50年を経過した建物ですが、中には100年を超える古民家も多くあります。
一般的な住宅に比べ、固定資産税を抑えられる可能性が高いといえるでしょう。
ただし、増築をした場合などの固定資産税の解釈は、自治体によって異なるケースがあります。
増築を前提としている場合は事前に確認しておくと安心です。
シックハウス症候群のリスクを低減できる
近年、建材や家具に含まれる化学物質により、室内の空気汚染や健康被害が指摘されています。
総称して「シックハウス症候群」と呼んでおり、目がチカチカしたり鼻水が出たり、のどが乾燥したり頭痛を覚えたりなど、人によってさまざまな症状が現れます。
その点、古民家に使われる土台や柱、梁などのほとんどは、木から切り出した自然な状態の「無垢材」です。
無垢材は化学物質をほとんど含まないことから、シックハウス症候群のリスク低減につながります。
古き良き日本家屋を残しつつ現代の暮らしができる
広々とした土間や開放感のある吹き抜け、日本家屋ならではという意匠・縁側など、古民家には現代住宅にはないさまざまな魅力があります。
古民家が持つ古き良き日本家屋の趣を残しつつ、最新のキッチンやお風呂にリノベーションして、現代の便利な暮らしを維持することができます。
古民家リノベーションのデメリット
一方、古民家にはデメリット(リスク)もあります。
せっかく多額の費用をかけてリノベーションするわけですから、メリットだけでなくデメリットもきちんと把握しておくことが大切です。
老朽化進んでいるおそれがある
お伝えしたように、ヒノキやケヤキといった木材そのもの、つまり古民家の構造自体は非常に頑丈です。
ですが、長らく適切なメンテナンスを受けていなかった古民家の場合、見えない部分などで経年劣化が進んでいたりシロアリ被害を受けていたりするおそれがあります。
強度が低下していれば、耐震性という点でも不安が残ります。
断熱性や気密性が低いため夏は暑く冬は寒い
古民家は現代住宅と比べて気密性が低く、基本的に断熱材も入っていません。
外気温に影響を受けて夏は暑く、冬は寒くなることから、冷暖房費が膨らむおそれがあります。
風通しがよいため夏は涼しく感じることもありますが、昔と今とでは暑さの質が変わってきています。
断熱材やエアコンなしでの生活は難しいと考えておきましょう。
予定以上に費用がかかってしまうことがある
劣化の進み具合や断熱材の有無などでも異なりますが、古民家をリノベーションする場合、当初の予定よりも費用がかかってしまうことも多くあります。
希少価値の高い木材を使用していたり、釘や金具を使わない伝統工法の場合は手間がかかったりなども、リノベーション費用が高額になる要素です。
知識と高い技術のある職人さんでなければ対応できないとなれば、さらにコストが膨らむことも考えられます。
古民家リノベーションの費用を事例も交えて紹介
より具体的にイメージしやすいよう、古民家リノベーションの事例を交えながら費用を紹介します。
なお、下記の費用は純粋な施工費用で、設計費用、家具家電費用、申請費用等が別途かかります。
【築80年】古民家リノベーション事例1|費用1,700万円
平屋建ての、いわゆる一般的な古民家をバリアフリー化し、間取りを変更して設備を一新するリノベーションを行った場合の費用の目安です。
【築110年】古民家リノベーション事例2|費用1150万円
同じくバリアフリー化し水回りを中心に設備を一新、断熱材も施工し、間取りを変更して各部屋の収納スペースを増やすリノベーションを行った場合の費用の目安です。
【築70年】古民家リノベーション事例3|費用2,500万円
水回りやキッチン、お風呂など各設備を一新して断熱材を施工、間取りを変更して部屋数を増やし、柱や梁がよく見えるデザインに変更した場合のリノベーション費用の目安です。
【築130年】古民家リノベーション事例4|費用1,600万円
古民家の基本的な構造は残しつつ、外観を現代風のスタイリッシュなデザインに変更、断熱材を施工し室内は和モダンで統一、水回りを一新させた場合のリノベーション費用の目安です。
古民家リノベーションの費用を抑えるための優遇制度
古民家リノベーションにともない各種リフォームを実施した場合、優遇制度を利用できることがあります。
代表的なものを紹介しますので、費用を少しでも抑えるため利用できるものはぜひ利用しましょう。
なおいずれも適用要件などが異なります。
必ず、リノベーションやリフォームを着工する前の段階で確認しておきましょう。
リフォーム減税|ローン型
- 耐震
- バリアフリー
- 省エネ
- 同居対応
上記いずれかのリフォームを実施した場合、控除対象限度額の250万円(バリアフリーは200万円)を上限に、工事費用の10%が所得税額から控除されます。
リフォーム減税|ローン型
- バリアフリー
- 省エネ
- 同居対応
上記いずれかのリフォームを実施した場合、償還期間5年以上の住宅ローンを対象に、1,000万円を上限として工事費用の年末ローン残高の2%もしくは1%が、5年間にわたって所得税額から控除されます。
住宅ローン減税
住宅ローンを利用してリフォームを実施した場合に、所得税額が控除されるというものです。
築年数や工事費用などさまざまな要件がありますので、事前によく確認しておきましょう。
各自治体の補助金
耐震診断や耐震補強など、その自治体が定めるリフォームを実施した場合、補助金を受け取れることがあります。
上限額や要件は自治体で異なりますが、50万円や100万円など高額の補助金を受け取れる自治体もあります。
「市内のリフォーム業者を利用すること」といった要件の自治体もありますので、業者を選定する前に自治体のホームページ等で確認しておきましょう。
古民家の探し方とリノベーション業者の選び方
最後に、古民家を探す際に大切なことや、リノベーション業者選びのポイントなどを解説します。
古民家の探し方
一般的な不動産ポータルサイトのほか、地元の不動産業者に紹介してもらったり、田舎暮らしに特化した不動産ポータルサイトを利用したりする方法があります。
また全国版の空き家バンクを利用するといった方法で探すこともできます。
いずれにしても、リノベーションやリフォームがしやすい古民家を選ぶことが大切です。
土台が沈んでいないか、雨漏りやシロアリ被害はないか、柱や梁が傷んでいないかなど、構造部分で欠陥がないかどうかを詳しくチェックしておきましょう。
リノベーション業者選びのポイント
古民家には希少価値の高い古い木材が使われていたり、釘や金具を使わない伝統工法が用いられていたりします。
そのため、選ぶ際は古民家のリノベーションやリフォーム事例が多い業者をおすすめします。
そうした業者であればシロアリ対策や耐震・断熱対策、あるいは補助金などにも詳しいですし、その土地の気候や環境に合わせた工夫も取り入れてくれるでしょう。