リフォーム事業で活用できる事業再生構築補助金とは?活用の方法・ポイントについて解説!
コロナ禍の厳しい現状を乗り切るために、店舗や物件のリフォームを行いたい、リフォーム事業を新たに始めたい。しかし、新たな挑戦を行うにあたって資金面に懸念があるという方もいるのではないでしょうか。
そのようなチャレンジ精神旺盛な事業者の方におすすめの制度が、事業再構築補助金です。
当記事では、事業再構築補助金の概要から、リフォーム事業で活用していくための知識・方法・ポイントについて解説していきます。
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金とは、Withコロナ時代における経済環境の変化等に対応するために、新分野展開・業態転換・業種転換といった大胆なチャレンジ・取り組みを行う中小企業等を支援するための補助金制度です。制度の利用にあたっては、コロナ禍の影響による売上減・事業再構築を行う意思がある・認定支援機関と事業計画の策定を行うといった申請要件を満たす必要があります。
事業再構築補助金には、建築費・改修費といったリフォーム事業に適用できる経費が対象となっているのが他の補助金制度との大きな違い。これからリフォーム事業で新しいチャレンジを行う方にとっては、ぜひ活用すべき制度となっています。
事業再構築補助金制度が誕生した理由
事業再構築補助金制度が誕生したのは、新型コロナウイルス感染拡大ならびのその影響が長期化したことが大きな理由として挙げられます。
多くの企業が当面の間売上や需要の回復が見込めないなか、Withコロナ・ポストコロナ時代に対応するために新たな取り組みを行うことが求められています。しかし、コロナ過で苦しむ事業者が新しい挑戦・取り組みを行うことは非常に困難。
同制度は、このような状況下にある事業者の取り組みを金銭面から支援・後押しをすることを目的に誕生しました。
補助金受給対象となる事業再構築の5つの類型
事業再構築補助金の対象は5つの類型に分けられており、それぞれ満たすべき要件が異なります。受給を考えているなら把握しておくべき内容となりますので、ぜひご参考下さい。
新分野展開
主な業種・事業に対する変更は行わず、新商品・新サービスを市場に投下する取り組みが新分野展開です。以下の3つの要件を満たす必要があります。
・製品等の新規性
・市場の新規性
・売上高10%UP
事業転換
主な業種の変更は行わず、主な事業を変更して新商品・新サービスを新市場に投下する取り組みが事業転換です。以下の要件を満たすことが求められます。
・製品等の新規性
・市場の新規性
・売上高構成比(最も構成比が高い業種・事業の計画を策定)
業種転換
主な業種について変更を行い、新商品・新サービスを新規市場に投下する取り組みが業種転換です。満たすべき要件は以下の通りです。
・製品等の新規性
・市場の新規性
・売上高構成比
業態転換
業態転換とは、商品・サービスの製造方法・提供方法を大幅に変更する取り組みのことを言います。業種・事業の変更については任意となります。
満たすべき要件は、製造業とそれ以外の事業で異なるのが特徴です。
■製造業
・製造方法等の新規性
・製品等の新規性
・売上高構成比
■非製造業
・製造方法等の新規性
・商品・サービス等の新規性または設備撤去
・売上高構成比
事業再編
事業再編とは、会社法上の組織再編行為等を行い、新たな事業形態のもとに上記4類型のいずれかに取り組むことを指します。
事業再編の要件は、組織再編行為が必須となり、他の要件は該当する類型の要件に従います。
事業再構築補助金の補助対象となる経費・対象とならない経費
事業再構築補助金は、どのような経費も認められるわけではありません。補助対象となる経費と対象とならない経費があります。
以下にそれぞれ解説していますので、補助金を有効活用するためにもぜひご参考下さい。
補助対象となる経費の例
事業再構築補助金の補助対象となるのは、以下11区分のいずれかに該当する経費です。
・建物費
・機械装置・システム構築費
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・広告宣伝・販売促進費
・研修費
・海外経費
リフォーム事業においては、建物費を中心に、専門家経費・運搬費・広告宣伝・販売促進費
等を活用していくケースが一般的でしょう。
補助対象とならない経費の例
続いて、補助対象とならない経費の例について解説します。
・補助対象企業の従業員の人件費
・従業員の旅費
・不動産、株式、公道を走る車両の購入費
・汎用品(パソコン・スマホ・家具等)の購入費
・フランチャイズ加盟料
・販売する商品の原材料費
・消耗品費・光熱水費・通信費
一過性の経費・外注費や補助事業と関連性の薄い経費等は補助対象とならない傾向にあるため注意が必要です。
事業再構築補助金の補助額
事業再構築補助金は、申請した応募枠毎に補助金の額が異なります。そのため、制度を利用するのであれば、どの枠でどのくらいの補助金が支給されるのかを把握しておくことが重要。
以下に、応募枠毎の補助金の額について解説します。
通常枠
通常枠は、従業員の人数によって補助額が異なるのが特徴です。
従業員数 補助額
20人以下 100~2,000 万円
21~50人 100~4,000 万円
51人~100人 100~6,000 万円
101人以上 100~8,000 万円
補助率は、中小事業者等が2/3(6,000万円超は1/2)、中堅企業等は1/2(4,000万円超は1/3)となっています。
回復・再生応援枠
事業の状況が厳しい事業者・事業再生に取り組む事業者を対象とした応募枠。こちらも従業員数によって補助額が異なります。
従業員数 補助額
5人以下 100~500万円
6人~20人 100~1,000万円
21人以上 100~1,500万円
補助率は、中小企業者等が3/4、中堅企業等が2/3となっています。
緊急対策枠
原油価格・物価高騰等総合緊急対策に基づき設けられた、原油価格・物価高騰等の経済環境変化の影響を受けている事業者を対象とした応募枠。従業員数により補助額が異なります。
従業員数 補助額
5人以下 100~1,000万円
6~20人 100~2,000万円
21~50人 100~3,000万円
51人以上 100~4,000万円
補助率は、中小企業等が3/4、中堅企業が2/3となっています。
大規模賃金引上枠
多くの従業員を雇用しており、継続的な賃金引上げ・増員による生産性向上に取り組む中小企業等を対象とした応募枠。
従業員数 補助額
101人以上 8,000万円超~1億円
補助率は、中小企業者等が2/3(6,000万円超は1/2)、中堅企業等は1/2(4,000万円超は1/3)となります。
最低賃金枠
最低賃金引上げの影響により、賃金原資の確保が困難となっている中小企業等を対象とした応募枠です。こちらも従業員数により補助額が異なります。
従業員数 補助額
5人以下 100~500万円
6人~20人 100~1,000万円
21人以上 100~1,500万円
補助率は、中小企業者等が3/4、中堅企業等が2/3となります。
グリーン成長枠
事業再構築補助金を利用して、グリーン分野で大きな成長を目指す中小企業を対象とした応募枠です。企業規模により補助額・補助率が異なります。
企業規模 補助額 補助率
中小企業者等 100万円~1億円 1/2
中堅企業等 100万円~1.5億円 1/3
事業再生補助金をリフォーム事業に活用した事例
リフォーム事業で事業再生補助金の活用を考えているのであれば、実際にどのような事業が採択されているのかをチェックしておくのがおすすめ。
ここでは、同事業で採択された事業の事例についてご紹介します。
空き物件をリフォームしたグループホーム用物件の販売業への事業転換
リフォーム会社Rは、空き家をグループホーム用物件へリフォームして販売するという事業展開計画を作成して採択されました。空き家問題と高齢化問題という日本が抱える大きな社会問題両方を解決できるビジネスモデルという点が決め手。
コロナ禍により低迷しているリフォーム事業の再構築を図るという自社の意図も十分に加味されています。
リフォーム事業の集客用のショールーム兼レンタルスペース運営
住宅事業を営むM社は、自社の遊休地にショールーム兼レンタルスペースとなる店舗を建て、新規事業として始めるリフォーム事業の集客・潜在顧客発掘に活かす計画を立て、採択されました。
店舗は実際に自社でリフォームを実施。興味を持った見込み顧客はそのまま発注を行うことも可能というビジネスモデルです。
リフォーム事業を主体とする場合には、同事業を単体で申請するよりも他のサービスと組み合わせたり付加価値を付けたりすることで、採択される可能性も高めることができます。
DXとリフォームを掛け合わせた新規事業の立ち上げ
外壁工事を主体とした建設会社K社は、長く安心できる住まいを提供することを目的に、断熱材施工技術とデジタル技術を掛け合わせたリフォーム事業を計画して採択されました。
DXは政府主導で推奨されていることもあり、リフォームを組み合わせた事業を行うことで採択可能性も高まりやすくなります。
事業再構築補助金(建物費)活用のポイント
建設費として事業再生補助金を有効活用するには、押さえておくべきポイントがあります。
以下にご紹介していますので、利用を予定している方はご参考下さい。
相見積もりが必要
事業再構築補助金の補助対象経費は、「可能な範囲において相見積もりの取得を行い、最低価格を提示した者を選定」するものとされていますが、費用が高額となる建設費に関しては、相見積もりの取得は必須とされています。
そのため、リフォームにおいて補助金の利用を行う際には、複数の建設業者から相見積もりの取得を行い、最も安価な価格を提示した業者へ発注しなければなりません。
もし何かしらの理由で最も安価な業者へ発注できない場合には、理由と価格の妥当性を示すための書類が求められます。
撤去・補修に限った使用は不可
事業再構築補助金の建設費における補助対象経費は「建物の建築」「建物の改修」「建物の撤去」の3点です。しかし、同補助金は新たな取り組みを対象とした制度であるため、建物の原状回復を目的とした補修や撤去費用に充てることは認められていません。
建築費を申請する場合には、どのような目的で補助金を利用するかを重視されるため、申請前には必ず確認しておくようにしましょう。
減価償却期間内は原則として処分不可
事業再構築補助金では、建築費を含む資産性を有する経費に関しては、50万円以上の支出を行った場合は処分ができないものとされています。事務局に届出を行えば例外的に処分することも不可能ではありませんが、その場合は残りの減価償却分は国に変換しなければなりません。
そのため、リフォーム業で補助金を利用する場合には、即座に売却する予定のある物件に改修・補修等を実施するのはやめておいたほうが無難です。
古民家・空き家のリフォーム・リノベーション事業にも採択事例アリ
事業再構築補助金は、古民家や空き家のリフォーム・リノベーション事業にも採択されている事例が確認されています。
これから古民家再生構築事業・空き家再生構築事業等にチャレンジするのであれば、補助金を上手く活用して初動の負担を軽減したり、事業成長を加速したりするのがおすすめ。
古民家・空き家のリフォーム・リノベーションへの参入を検討してるけれども、ナレッジ・ノウハウが無いため躊躇しているという方は、同物件の取り扱い経験・実績が豊富な弊社まで、ぜひご相談下さい。
・ハウスバード株式会社|お問い合わせフォーム
https://housebirdjapans.com/contact
まとめ
リフォーム業は、事業再構築補助金における建築費・改築費が補助対象となっており、制度の利用に非常に適した業種。実際に採択された事例も数多く存在するため、事業アイデアや事業計画書の完成度次第では、十分に補助金を利用できる可能性があります。
リフォーム事業で事業再構築補助金の利用を希望する方は、ぜひ当記事も参考にして、採択に繋がる事業を検討してみて下さい。