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ホテル開業に必要な営業許可とは?旅館業法についても解説

 

コロナ禍で観光業は打撃を受けましたが、入国制限が解除されるなど観光業にとって明るいニュースが増えています。

コロナ前はインバウンド需要の増加による宿泊施設の深刻な不足が問題になっていました。

Airbnbに代表される民泊ビジネスも盛り上がっており、ホテルなどの宿泊施設は観光業の成長の恩恵を受けることができるでしょう。

これからホテルや旅館を開業することを検討する人も多いかもしれません。

ホテルを経営するためには、旅館業法に基づく営業許可を取得する必要があります。

ホテル内で飲食の提供や酒類の販売を伴う場合には別途様々な許認可を取得することになります。

この記事では、ホテルの営業許可を規定する旅館業法やホテル開業に必要な許認可などについて解説します。

ホテル開業に旅館業法に基づく営業許可が必要

日本でホテルや旅館などの宿泊施設を開業、経営するためには営業許可を取得する必要があります。

宿泊施設の営業許可は、旅館業法で規定されています。

ホテルや旅館だけではなく、宿泊客から宿泊料を徴収する施設を運営している場合には旅館業法の制約を受けます。

旅館業とは?

ホテルや旅館や「旅館業」に含まれます。

旅館業法によれば、ホテルや旅館とは、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されています。

以下の場合には旅館業に含まれません。

 

  • 宿泊料を徴収しない場合
  • 生活の本拠を置いている場合(アパートや間借り部屋)

 

旅館業法を管轄する厚生労働省によれば、旅館業法に基づく営業許可が必要かどうかの判断基準として以下の4点を挙げています。

 

  1. 宿泊料を徴収(名称が休憩料、寝具賃貸料でも宿泊料とみなす)
  2. 社会性の有無(不特定の者を宿泊させている)
  3. 継続反復性の有無(宿泊募集を継続的に行っている)
  4. 生活の本拠か否か(使用期間が一ヶ月未満)

 

以上4点に該当する場合、旅館業法に基づき営業許可の取得が必要です。

旅館業に基づく営業許可が必要かどうか

旅館業法では、旅館業について「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義していますが、「旅館業に含まれるかどうか」が曖昧であったり、分かりにくい場合があると思います。

以下の施設やケースについて、旅館業に基づく営業許可が必要かどうかを解説します。

 

  • コテージ
  • コンドミニアム
  • ネットカフェ

 

それぞれ見ていきましょう。

コテージ

コテージとは、貸別荘を指し、水回りや家具、家電が揃った宿泊施設です。

一戸建ての建物を一軒家貸切でコテージとして貸し出すのが一般的です。

コテージはキャンプ場に併設されていることがあり、キャンプ初心者やファミリーに人気の宿泊施設です。

キャンプ場のBBQと一緒のコースで販売されることも多く、キャンプがメインの場合に旅館業法の営業許可が不要なのではないか、と勘違いされることがあります。

しかし、コテージで宿泊客から宿泊料を徴収する以上は旅館業に分類されます。

また、キャンプ場で食事を提供するなら飲食業の許可も必要になります。

コンドミニアム

コンドミニアムとは、ベッドやキッチン、家電など生活に必要な物が配置された賃貸型の宿泊施設です。

コンドミニアムには、完全にホテルとして利用されるものと賃貸人が利用しない期間だけ旅行者に賃貸されるバケーションレンタルタイプの2種類があります。

前者はアパートを一棟貸しして、ホテルとして利用しているので、旅館業に含まれることは明らかですが、後者が含まれるかどうかが問題になります。

この点について、厚生労働省の「(参考)旅館業法に関するQ&A」には以下が掲載されています。

 

Q2.個人が自宅の一部を利用して人を宿泊させる場合は、旅館業法上の許可が必要 ですか。 

A2.個人が自宅や空き家の一部を利用して行う場合であっても、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に当たる場合(Q1参照)には、旅館業法上の許可が必要 です。

 

つまり、コンドミニアムの利用者から宿泊料を徴収する場合、旅館業に含まれます。

ネットカフェ

ネットカフェはネットや漫画を利用できる喫茶店です。

1時間単位で利用料が徴収されるタイプが一般的ですが、夜から朝まで止まるサラリーマンや観光客がいることも事実です。

このため、ネットカフェは旅館業に含まれるのではないかが問題になります。

旅館業の定義は、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されています。

したがって、ネットカフェの利用料が「宿泊料」とみなされるかが問題です。

旅館業法には、「この法律で「宿泊」とは、寝具を使用して前各項の施設を利用することをいう。」と記載があります。

ネットカフェでは、ひざ掛けやイスが提供されていますが、寝具はありません。

したがって、一般的なネットカフェは旅館業に含まれないと考えられています。

本当にホテル?旅館業の4種類の定義

旅館業法では、4種類の旅館業を定義しています。

ホテル以外の宿泊施設について定義しており、「ホテルだと思ったけど、実はホテルではなかった」ということがないように注意しましょう。

種類によって取得する営業許可の種類が異なります。

ホテル営業

厚生労働省は、「洋式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業である」と定義しています。

旅館営業や下宿営業、簡易宿所営業などを除くビジネスホテルや旅行者用のホテル、高級ホテルなど幅広いホテルが該当します。

旅館業法施行令によれば、洋式の客室10部屋以上で、1部屋の面積が7㎥以上であることなどが基準です。

旅館営業

厚生労働省は、「和式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業である」と定義しています。

例として以下の宿泊施設が該当します。

 

  • 駅前旅館
  • 温泉旅館
  • 観光旅館
  • 割烹旅館
  • 民宿

 

和式の客室5部屋以上で、1部屋の面積が7㎥以上であることなどが基準です。

ホテルとの一番の大きな違いは、部屋が和室であることです。

イメージとして、畳の部屋に布団を敷くタイプの部屋を備えるのが旅館です。

簡易宿所営業

厚生労働省は、「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を設けてする営業である」と定義しています。

例として以下の宿泊施設が該当します。

 

  • ベッドハウス
  • 山小屋
  • スキー小屋
  • ユースホステル
  • カプセルホテル

 

民泊は旅館営業ではなく、管理宿所に該当することもあります。

最低客室数は規定されていません。

下宿営業

厚生労働省は、「1月以上の期間を単位として宿泊させる営業である」と定義しています。

下宿営業には、社員の住み込み部屋や学生アパートなどが該当します。

しかし、実際には、1か月以上の宿泊では、不動産の賃貸契約を締結することが多いようです。

旅館業法の厳しい制約を受けずに賃料を徴収できるので、下宿営業の営業許可が取得されることは少ないようです。

ホテル経営で必要になる様々な許認可

ホテルを経営する場合、旅館業法に定めるホテル営業の営業許可取得が必要になります。

しかし、ホテル内で提供する商品やサービスによっては別途他の分野の営業許可を取得することになります。

ここでは、ホテルを経営する時に必要になるホテル営業許可以外の様々な許認可を解説します。

飲食店営業許可

ホテルでサービスの一環として、朝食や夕食を提供していることは少なくありません。

ホテルで食事や飲み物を提供する場合、飲食店の営業許可が別途必要になります。

講習を受講し、「食品衛生責任者」の資格を取得したうえで、保健所の検査に合格する必要があります。

食品衛生責任者は、1店舗当たり最低1人以上を置くことが義務付けられています。

民泊を経営する場合であっても食事を提供するなら必要になる許可ですので、注意しましょう。

酒類販売業許可

観光地のホテルでは、地元のお酒をお土産として販売することがあると思います。

この場合、酒類販売の許可が必要になります。

一方で、ホテル内のレストランでお酒を提供する場合には飲食店の営業許可が必要であり、酒類販売業の許可は不要です。

飲食店の営業許可と酒類販売業の許可の違いは開栓の有無です。

酒類販売業の許可取得には、レストランなどと別途酒類を販売する場所の確保が必要です。

公衆浴場の許認可

ホテル内に銭湯や公衆浴場を設置することがあるでしょう。

観光地では、温泉付きのホテルが人気を集めています。

宿泊客のみを対象とする公衆浴場であれば、別途公衆浴場の許認可を取得する必要はありません。

浴槽などの要件や管理については旅館業法で規定があります。

しかし、一般客向けに日帰り入浴の営業を行う場合、公衆浴場の許認可が必要です。

この場合、要件や管理維持についても公衆浴場法や自治体の公衆浴場法施行条例に規定があります。

まとめ

記事では、ホテルの営業許可を規定する旅館業法やホテル開業に必要な許認可などについて解説しました。

マスク着用の緩和や入国制限の解除などコロナ以前の生活に戻る可能性が見えてきました。

コロナ以前はインバウンドを中心に観光業が飛躍的に成長していました。

観光業への新規参入は今がチャンスかもしれません。

ホテルを開業するためには営業許可を取得しないといけません。

民泊ビジネスが盛んになったことで、無許可営業に対する規制が強化されましたので、必ず営業許可を取得しましょう。

それと合わせて飲食店や公衆浴場の営業許可などを取得し、ホテル開業に備えましょう。

スムーズに開業準備を進めるために、旅館業法や旅館業法施行令などを確認しておきましょう。

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