03-6661-6025受付:平日9:30 - 18:00

不動産を取得する前に知っておきたい減価償却の基礎知識

不動産を取得するにあたり、減価償却があることは知っていても、その詳しい内容まで理解しているという方はあまりいないのではないでしょうか。

特に投資目的で不動産を取得する場合、減価償却について知っているかどうかで、投資のパフォーマンスが大きく異なります。

本記事では、不動産における減価償却費について、基本的な内容から計算方法、より大きなメリットを得る方法などお伝えしていきます。

 

不動産における減価償却費

 

減価償却費とは「もの」の資産価値について経年劣化する分を費用として表したものです。

 

実際のところ、どの程度劣化したかどうかなどは「もの」によって異なりますが、

減価償却費は税金の計算に使われることから、納税者間の不公平をなくすため、

その計算方法にはルールが設けられています。

 

不動産投資においては、金額が大きいこともあり、このルールを知っておくことで納税額を計算することができ、

ひいては投資のパフォーマンスを向上も目指せます。

 

以下、詳しく解説していきます。

 

減価償却とは

減価償却とは、経年劣化による資産価値の目減り分を経費として計上するもので、

対象の資産の取得価格を一定年数に分割して計算します。

 

一定年数については、取得した資産によって異なり、例えば1,000万円の資産を10年に分ける場合、

1年目から10年まで、毎年100万円ずつ経費として計上していくことができます。

 

建物のみが対象

 

不動産には土地と建物がありますが、減価償却できるのは建物のみです。

 

建物は年数が経つことで劣化していきますが、土地は年数が経つだけでは資産価値が落ちないことが理由です。

このため、一戸建てやマンションを購入する場合、土地と建物をセットで購入することになりますが、

減価償却の計算においては建物と土地を分けて計算する必要があります。

 

保有中の減価償却費

不動産については、保有中と売却時の2つの時点で減価償却費の計算が必要です。

 

まず、保有中については、不動産の建物部分の取得価格を一定年数で分割して毎年経費として計上します。

 

先述の通り、例えば1,000万円の建物を10年に分割する場合、毎年100万円ずつ計上していくことになります。

 

売却時の減価償却費

一方、売却時には、資産価値から保有中に計上した減価償却費の合計額を差し引いた額を取得費として計上します。

 

不動産を売却して利益があると譲渡所得として税金を納める必要がありますが、

その計算は売却価格から取得費を差し引いて行います。

 

例えば、建物を1,000万円で購入し、6年間保有し、600万円を経費として計上していた場合、

売却時には取得費として400万円計上できる、ということになります。

 

仮に不動産を2,000万円で売却する場合、

2,000万円から上記400万円やその他経費を差し引いた額に対して、税金が課されることになります。

 

上記の計算を見てお気づきいただけたかと思いますが、

実は保有中にたくさんの減価償却を計上していると、売却時に計上できる減価償却費が少なくなってしまいます。

 

取得前から、毎年どのくらいの経費を計上できるか計算すると共に、

取得後についてはどのタイミングで売却するのがよいか計算しておくことが大切です。

 

不動産の減価償却の計算方法

ここでは、減価償却費の具体的な計算方法についてお伝えしていきます。

 

耐用年数と償却率を確認する

減価償却費は、資産の種類ごとに定められた耐用年数により計算されます。

 

耐用年数とは、その資産を何年使えるかという視点で決められるもので、

不動産の場合、RC造や鉄骨造、木造など構造毎に定められています。

 

また、実際の計算においては、耐用年数に応じて決められた償却率を用います。

構造 法定耐用年数 償却率
木造 22年 0.046
鉄骨造 34年 0.030
RC造 47年 0.022

 

取得費を確認する

不動産を購入した価格については、購入時の売買契約書等で確認しますが、

このうち建物部分がいくらになっているのかが分からなければなりません。

 

ほとんどの売買契約書では、建物部分と土地部分が別に記載されているため、

このうち建物部分を計上すればよいですが、別に記載されていない場合は土地が非課税であることを利用し、

消費税の額で建物価格を計算するといったやり方で建物価格を割り出します。

 

例えば、売買価格が3,000万円、消費税額が100万円となっていた場合、

建物価格2,000万円に対する消費税(5%の場合)とすることができます。

 

上記の他、国税庁による「標準的な建築価格」を参照する方法や、

固定資産税評価額の比率で按分する方法もあります。

 

基本的には、消費税による方法で割り出せない場合に、他の2つの方法を検討してみる、といった考え方でよいでしょう。

※土地と建物の価格の区分について、契約書に記載がない場合、税法上に特別の規定はありません。

 

減価償却費を計算する

耐用年数(償却率)と取得費が分かったら、減価償却費を計算できます。

 

例えば、新築で1億円のRC造の建物を取得したのであれば1億円×0.022=220万円を毎年計上します。

 

その他、鉄骨造であれば1億円×0.030=300万円/年、木造であれば1億円×0.046=460万円/年となります。

 

保有中の減価償却費については、毎年の家賃収入等の収入の合計から、

上記で計算した減価償却費を差し引くことができます。

 

取得時に1億円支払っていますが、2年目以降については実際の支払いがないのにも関わらず経費計上できるため、

上手に活用すると毎年の納税額を抑えられます。

 

中古不動産の減価償却費の計算

木造、鉄骨造、RC造それぞれについて法定耐用年数と償却率をお伝えしましたが、

償却率については、新築であることを想定して計算しています。

 

それでは、中古不動産の減価償却はどのように計算するのでしょうか?

 

築年数が法定耐用年数の一部を経過している場合

築年数が法定耐用年数の一部を経過している場合、例えばRC造の建物で築年数が20年など、

築年数が法定耐用年数(47年)以下の場合、以下の計算式で耐用年数を求めます。

 

耐用年数=(法定耐用年数-築年数)+(築年数×0.2)

 

上記の例であれば、(47年-20年)+(20年×0.2)=31年となります。

 

耐用年数31年の場合の償却率は0.033のため、この不動産を1億円で取得した場合、

毎年1億円×0.033=330万円計上できることになります。

 

築年数が法定耐用年数を超えている場合

一方、築年数が法定耐用年数を超えている場合、以下の計算式で耐用年数を求めます。

 

耐用年数=法定耐用年数×0.2

 

例えば、木造住宅(法定耐用年数22年)で築年数が25年の場合、耐用年数は22年×0.2=4年となります。

 

耐用年数4年の場合の償却率は0.250となります

 

この場合、取得価格が1億円であれば

減価償却費は1億円×0.25=2,500万円/年となり、非常に大きな額を経費として計上可能です。

 

減価償却費でより大きなメリットを得るには?

減価償却費の計算方法についてお伝えしてきましたが、こうした知識を前提とした上で、より大きなメリットを得る方法にはどんなものがあるのでしょうか?

 

建物価格の割合を大きくしてもらう

減価償却費については、建物価格分しか考慮されません。

 

一方、売却する側としては、建物価格と土地価格の配分はそこまで重要な事柄ではありません。

例えば、1億円で不動産を売却するとして、そのうち建物の割合が3,000万円であろうと4,000万円であろうとそう大きな違いはありません。

 

そのため、不動産を購入する際、売主と交渉して建物の割合を大きくしてもらうことで、毎年計上する減価償却費を増額できることもあります。

例えば、RC造、築年数10年の物件であれば、耐用年数は39年、償却率は0.026です。

上記物件で建物価格が3,000万円だった場合、減価償却費は78万円/年ですが、4,000万円にしてもらうことができれば104万円/年を計上可能です。

 

耐用年数の短い不動産を選ぶ

また、購入する不動産については耐用年数の短い物件を選ぶことで、毎年計上できる減価償却費を大きくできます。

 

例えば、同じ1億円の物件を取得するにしても、鉄骨造で築年数10年のものと30年のものとでは、以下のように耐用年数、償却率、減価償却費が異なります。

築年数 耐用年数 償却率 減価償却費
10年 30年 0.034 340万円/年
30年 6年 0.167 1,670万円/年

保有中の収入については不動産所得として計算し、経費を差し引いてマイナスとなる場合にはマイナス分を給与所得など他の所得から損益通算できることもあり、

築年数が法定耐用年数を超えた物件を狙った投資を行う投資家もいます。

 

例えば、毎年の家賃収入が1,000万円、減価償却費を含む各種経費が1,700万円の場合、

その年の不動産所得は700万円の赤字となりますが、この赤字分について、給与所得など他の所得から差し引けます。

 

ただ、先述の通り保有中に差し引いた減価償却費については、売却時の取得費の計算上、計上できる額が小さくなってしまう点には注意が必要です。

 

まとめ

 

不動産投資における減価償却費の計算方法について、基本的な内容からお伝えしました。

減価償却費については、2年目以降は実際に出費していないのに経費として計上できることもあり、うまく活用すれば実際には利益をたくさん得ているのに、納税額は小さいといったことを目指すことも可能です。

取得する不動産の構造や築年数によって毎年計上できる減価償却の額は大きく変わるため、しっかり理解した上で物件を取得するようにしましょう。

 

お問合わせ

事業に関することや当社への質問などお気軽にお問合わせください