民泊施設の運営にかかる費用は?管理費の相場などを解説
インバウンド需要の増加や宿泊客のニーズの多様化を背景として民泊事業が注目を集めています。
この記事では民泊事業の開業や運営にかかる費用について解説します。
民泊事業にかかる費用
インバウンド需要が長期的に増加することが見込まれる中で民泊は宿泊施設不足の救世主であり、人気の不動産投資となりつつあります。
格安で利用できる民泊は利用者にとって大きなメリットがありますが、事業者にとっても低コストで始めることができるという恩恵があります。
ここからは民泊事業を実施する上で想定される費用について解説します。
民泊の開業費用
これから民泊事業を始める時にかかる開業費用です。空き室を利用する場合や新たに物件を購入する場合など状況に応じて、費用は上下しますが、ここではおおよその費用について解説します。
費用 | 内容 | 相場 |
賃貸費用 | 民泊施設に利用する施設を賃貸するための費用。
既に物件を所有している場合にはかからない。 通常の賃貸物件に比べて、家賃は1.2〜1.5倍程度。 賃料・敷金・礼金込で考える必要がある。 |
初期費用:50~100万円
毎月の賃料:10~20万円 |
備品・設備・家具購入費用 | 物件の大きさによって必要となる家具等の数や大きさが変わる。
和室タイプの場合、ベッドを布団で代替し、費用を抑制できる。 ただし、節約しすぎると写真の見栄えが悪くなる。 |
1LDK:50万円
2DK:45万円 3K:60万円 4LDK:80万円 |
開業許可申請代行費用 | 旅館業法や住宅宿泊事業法に対応するために申請が必要。
たいていの場合は申請代行業者に申請を依頼するために費用が発生する。 対応する法律によって相場は異なる。 |
住宅宿泊事業法
:10万円 〜 25万円 旅館業法:35万円 〜 40万円 |
民泊の運営費用
民泊事業を開始した後に継続的に発生するランニングコストについて解説します。民泊といっても宿泊施設を運営するわけですので、通常の賃貸物件よりも費用が高くなります。
費用 | 内容 | 相場 |
水道光熱費 | 宿泊施設において使用される、水道代やガス代、電気代や熱供給に必要なエネルギーに要する費用 | 宿泊料の2~3%程度
1Kで5,000~8,000円程度 2LDKで15,000~20,000円程度 |
消耗品 | アメニティ類。 シャンプー、石鹸、ボディソープ、ブラシ、髭剃り用のレザーなど | 宿泊施設の備品の種類によるが、5,000~10,000円程度 |
インターネット | wifi接続費用。
宿泊施設の規模に対応する接続能力が必要。 |
5,000円前後 |
管理費 | 民泊施設の管理を代行業者に依頼した時に発生する費用。 | 宿泊料の15~20%程度が相場 |
上記の費用のほとんどは通常の賃貸物件でも発生するものだと思います。しかし、管理費については通常の賃貸物件では発生しません。
ここからは民泊事業で発生する管理費について概要や相場を解説します。
民泊事業の管理費とは?
通常、不動産事業を運営する方は不動産管理会社に不動産の入居者募集、家賃の集金管理、建物管理など不動産経営に関する大半の業務を委託します。
民泊を運営する上でも不動産管理会社または民泊代行業者に民泊施設の管理を任せることが一般的です。民泊施設の管理とは具体的に以下のような業務です。
- 宿泊客の斡旋
- 行政への申請代行
- 外国人観光客への対応
- 電話やメールでの問い合わせ対応
- Airbnb等のアカウント管理
- 施設の清掃
業者に管理を任せる範囲はそれぞれですが、当然ほとんどの業務を委託すると事業が楽になります。そのため、個人・法人を問わず管理を委託する事業者が増えているようです。
管理費の料金相場
民泊の管理を請け負う業者によって料金システムは異なります。売上に対する一定割合を手数料とする業者や月額制で一定額の手数料を設定している業者などさまざまです。
また一口に管理といっても対応する業務にも差があり、当然ながらカバーする業務の範囲が大きいほど料金は高くなります。ここからはあくまで一例として料金相場を解説します。
管理費①売上高比20%
最もシンプルな料金体系は売上高に対する割合で手数料が設定されている料金体系です。インターネット上で民泊の管理を委託できる業者を調べるとこの料金体系を採用している業者が最も多いようです。
対売上高比の割合は業者によって異なりますが、概ね20〜30%に設定していることが多いようです。したがって、最低でも売上高比20%の管理費を見込む必要があるかもしれません。
例えば、比較的観光客が集まりやすい都内や観光名所周辺で民泊事業を運営したと仮定します。1つの民泊施設に4人が宿泊できるだけの規模がある場合に1泊の料金を4万円に設定してみましょう。すると1人当たり4万円×4人=16万円となります。
ここで注意しなければならないのが、1年のうち何日間、民泊施設を貸出できるかです。可能であれば、1年間で365日貸し出して、16万円×365日=5,840万円としたいところです。
しかし、民泊新法(住宅宿泊事業法)では、年度ごとの予約泊数の上限を180泊と規制しています。上限規制に違反した場合、営業停止命令や行政処分を受けるおそれがあります。最悪の場合には、刑事責任を問われる可能性もあります。
したがって、最大でも年間180日までしか貸出ができません。その上で計算すると以下のようになります。
16万円×180日=2,880万円
売上高2,880万円のうち、20%を民泊の管理委託会社に支払うと仮定すると管理費は以下のとおりです。
2,880万円×20%=576万円
上記の管理費はあくまで参考ですので、実際には繁忙期によって管理費が上下したり、想定以上に宿泊客を獲得できない場合もあります。
管理費②毎月一定額
次に考えられる管理費の料金システムは毎月一定額の管理費を徴収する仕組みです。毎月の売上高に比例して管理費が上下しないので、宿泊施設の規模に応じて管理費を決定します。
例えば、一坪当たりの管理費を設定し、管理費と坪数をかけ合わせて管理費を計算します。
この料金体系はシンプルですが、実際にはほとんど採用されていないようで、インターネットを探してもほとんどは上記の売上高対比で管理費を決定する方法です。
管理費の料金体系
民泊の運営管理には完全委託と部分委託の2種類があるようです。完全委託とは民泊施設に関連するすべての業務を管理業者に委託することです。委託する業務量に比例して、管理費が高くなりますが、負担を大幅に軽減できます。上記の管理費の相場はすべて完全委託を想定したものです。
部分委託とは、運営管理のうち部分的に業務を委託するものです。委託する業務の難易度によって料金が変わる仕組みです。ただし、ほとんどの管理業者は完全委託を専門としており、部分委託は扱っていないようです。
まとめ
この記事では民泊施設を開業または運営する上でかかる費用やその大部分を占める管理費について解説しました。民泊の運営管理を管理業者に委託することで、管理費はかかりますが、業務量を大幅に削減することができます。
民泊事業と並んでおすすめしたいのが貸別荘の運営です。近年、安定した賃料収入を得るために不動産投資を始める人が増えています。貸別荘は通常の不動産投資に比べて、高利回りを実現しやすいという特徴があります。
不動産投資を始めることを考えている方はぜひ貸別荘への投資を検討しましょう。