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グランピング経営に関連する法律「旅館業法」「都市計画法」とは?

グランピングは手軽にアウトドアの雰囲気が楽しめるレジャー施設です。

ここではグランピング経営に関連する法律「旅館業法」と「都市計画法」について解説します。

 

グランピングの語源となるのは次の2つの英語です。

・glamorous(グラマラス…魅惑的な、華やかな)

・camping(キャンプ)

すでにテントやコテージが設営されている状態にて、手軽にアウトドアの雰囲気が楽しめるレジャーです。

 

グランピング経営に関連する法律「旅館業法」

グランピング経営に関連する法律として「旅館業法」があげられます。

旅館業法の適用および適用外のケースを次の表にまとめてみました。

 

項目 内容
旅館業法適用 ・施設内に宿泊可能な部屋を設ける

・部屋にはベッドや布団などを準備

・宿泊期間(時間)に応じた料金を受け取る

・施設の利用料金を受け取る

・集客のための宣伝を行う

・不特定多数が顧客対象

旅館業法の適用外 ・宿泊料金や利用料金が発生しない

・集客のための宣伝を行わない

・友人や知人のみ不定期的に宿泊

・日帰り限定(宿泊不可)

・キャンプ場のような場所のみのレンタル

※テントやシュラフなどの貸し出しは可能

 

基本的には不特定多数の他者に宿泊してもらうことで、宿泊料金を受け取る業態であれば旅館業法の対象施設です。

厚生労働省「旅館業法概要」

e-GOV法令検索「旅館業法」

 

グランピング経営は法律(旅館業法)の簡易宿所営業

 

グランピング経営は法律(旅館業法)の簡易宿所営業に該当することがほとんどです。

旅館業法にて定められた旅館業は、以下の4つの種類に分けられます。

 

区分 内容
ホテル営業 建物や部屋、主な設備の構造が「洋式」
旅館営業 建物や部屋、主な設備の構造が「和式」

例:駅前旅館、観光旅館、割烹旅館、温泉旅館

※民宿が含まれるケースもあります

簡易宿所営業 複数人にて宿泊場所や設備を共有する施設

例:山小屋、スキー小屋、ユースホステル

ベッドハウス、カプセルホテル

下宿営業 宿泊期間1ヶ月以上が単位となる施設

 

グランピング施設の客室数(5部屋以上)によっては、ホテル営業もしくは旅館営業としての許可申請が推奨されるケースもあるようです。

ただしここでは、シンプルにグランピング施設=簡易宿所営業として話を進めていきます。

 

グランピング経営に関する法律(旅館業法)の簡易宿所営業の要件

 

グランピング施設の経営に必要な簡易宿所営業の要件を次の表にまとめています。

 

項目 内容
名簿 宿泊者名簿の常備

※宿泊者の氏名、住所、職業など

客室数 規制はありません
客室床面積 延床面積33㎡以上
玄関帳場(フロント) 宿泊希望者との面談用の設備

※国の規制はありません

※自治体ごとに必須要件に含まれるケースがあります

換気など 適切な換気、照明、採光、防湿、排水設備
入浴設備 宿泊者の需要に応じた規模の入浴設備

※近隣に温泉や公衆浴場がある場合は除きます

その他(構造設備基準) 都道府県または、保健所を有する市や特別区の構造設備基準を満たしていること

 

厚生労働省「簡易宿所について」

https://www.mlit.go.jp/common/001115560.pdf

厚生労働省「民泊サービスを始める皆様へ」

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000307696.pdf

 

客室床面積が延床面積33㎡以上

 

簡易宿所営業許可を取得するには、客室床面積が延床面積33㎡以上であることが条件のひとつです。

一般的なグランピング施設の場合、宿泊者10名未満に関しては「1名あたり3.3㎡以上の延床面積」が適用されます。

そのため、ひとつのテントの最大収容人数が4名であれば、3.3㎡×4(名)=13.2㎡以上の広さのテントであれば問題ありません。

ちなみに3.3㎡は、土地の単位で使われる「坪」の面積です。

 

単位 面積または畳
1坪 3.3㎡
江戸間(1坪) 2.14畳
京間(1坪) 1.81畳
中京間(1坪) 2畳
団地間(1坪) 2.29畳

 

玄関帳場(フロント)を設ける

 

玄関帳場にはフロントなどの受付が該当します。

宿泊希望者との面談や、宿泊者からの代金の受け取りなどを行うスペースです。

 

玄関帳場の設置に関する国の規制はありませんが、自治体によっては条例にて玄関帳場の設置を求めるケースも存在します。

グランピング施設許可申請の前に自治体の担当者と相談しておいたほうが無難でしょう。

 

適切な換気、照明、採光、防湿、排水設備

 

グランピングに限った話ではありませんが、宿泊施設としてふさわしい屋内環境であることが求められます。

グランピング施設であれば、テント内の換気や防湿(カビの防止)に注意したいところです。

 

入浴設備

 

グランピングは屋内で宿泊可能なキャンプを提供するレジャーです。

キャンプ場とは異なり、施設内へのお風呂やシャワーの設置が義務付けられています。

具体的な数は指定されていませんが、利用者数に応じた数のお風呂やシャワールームを設置しましょう。

お風呂やシャワーやトイレは、男女別で設けておくと利用者の利便性とともに、利用者からの好感度もアップします。

個別であればなお良しです。

グランピング経営に関連する法律「都市計画法」

 

グランピング経営に関連する法律には「都市計画法」も含まれます。

そもそもグランピング施設の営業を許可している場所や地域でないと、グランピング経営を始めることもできません。

グランピング経営は旅館業の営業が認められた地域にて行うことが可能です。

 

区分 用途地域の種類
グランピング経営が可能 ・第1種住居地域

・第2種住居地域

・準住居地域

・近隣商業地域

・商業地域

・準工業地域

グランピング施設が建設不可 ・第1種低層住居専用地域

・第2種低層住居専用地域

交渉によってはグランピング経営が可能 ・無指定

・農地

 

国土交通省「土地の使い方と建物の建て方のルールの話

https://www.mlit.go.jp/crd/city/plan/03_mati/04/index.htm

 

グランピング施設は都市部の住宅街に建設する可能性は極めて低いため、問題になりそうなのは「無指定」もしくは「農地」かと思われます。

無指定に関しては、土地の所有者や所轄の自治体に確認を取ることが前提です。

農地の場合には、農地転用の手続きが別途必要となります。

 

準都市計画区域に注意

 

準都市計画区域は、高速道路や幹線道路などの周辺の景観を守る目的で指定されたエリアです。

前述の「無指定」と誤認しやすいため、グランピング施設用に土地を購入する前に所轄の自治体に確かめておきましょう。

 

国土交通省「建物を建てられるところと、建てられないところの話」

https://www.mlit.go.jp/crd/city/plan/03_mati/03/index.htm

グランピング施設の周辺に学校などがないか?

グランピング施設を予定している周辺に、学校などがないことも大切な要素です。

おおむね周辺100メートル以内に、次の施設が存在しないことが求められます。

 

・学校(小中学校)

・児童福祉施設

・図書館

・美術館など

 

自治体ごとの制限については、次のリンク先を参照してくだだい。

 

国土交通省 観光庁

民泊の実施制限に関する地方公共団体の条例のとりまとめについて

https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/content/001418351.pdf

 

テントの防火基準が求められるケースも

 

都市計画区域の中にはグランピング施設のテントに対して、所定の防火基準が求められるケースも存在します。

 

・防火地域

・準防火地域

・建築基準法第22条指定区域

 

上記のエリアの場合、テントの素材が防火や耐火に適したものを選ぶことが必須です。

市販のテントの中には防火基準を満たしていないものも少なくありません。

そのため、防火地域などのエリアを避けるのもひとつのやり方です。

まとめ

 

ここまで、次の内容について紹介してきました。

 

・グランピング経営に関連する法律「旅館業法」

・グランピング経営は法律(旅館業法)の簡易宿所営業

・グランピング経営に関する法律(旅館業法)の簡易宿所営業の要件

・グランピング経営に関連する法律「都市計画法」

 

グランピング経営はキャンプなどのアウトドア市場の拡大とともに、さらなる需要が期待できるカテゴリーです。

興味のある方は手続きや法律面も含めた疑問の解消のためにも、一度専門家に相談してみることをおすすめします。

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