COLUMN

コラム

事業再構築補助金は土地所有者におすすめの補助金?許可される不動産関連事業を解説

事業再構築補助金はコロナ時代に売上が減少している中で新しい事業を開始したい事業者を応援する中小企業庁の制度です。

新しく不動産事業を開始したい方や保有する遊休地を利用したい方は事業再構築補助金を利用できるのか気になっているかもしれません。

不動産関連の事業は「投資」の意味合いが強くなるので、活用できないと思われているかもしれません。

この記事では、事業再構築補助金と「土地」の関係について詳しく解説します。

事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金とは、コロナ時代に新しい事業に挑戦する人を応援する中小企業庁の補助金事業です。

コロナ禍において、既存の事業の売上が減少した中小企業が、一定の事業を実施し、認定経営革新等支援機関と事業計画を策定することで補助金を受け取ることができます。

中小企業庁はウィズコロナ・ポストコロナの時代に対応するために、以下の事業を支援するとしています。

 

  • 新分野展開
  • 業態転換
  • 事業・業種転換
  • 事業再編
  • 上記の取組を通じた規模の拡大

 

支援対象の企業は中小企業であり、コロナ時代に取り組む内容によって、補助金額が決まっています。

補助対象は基本的に設備投資ですが、補助対象外の経費があることに注意が必要です。

事業再構築補助金と土地の関係

土地などの不動産所有者や不動産業を経営している人は事業再構築補助金を活用することができるのでしょうか。

また、新しく土地を購入して、不動産業を開始した場合に事業再構築補助金を受け取ることができれば、自己資金を大幅に節約できます。

ここでは、事業再構築補助金と土地の関係について解説します。

不動産賃貸業は補助対象者に含まれる?

結論から言うと、不動産賃貸業を経営する個人も事業再構築補助金の補助対象に含まれます。

事業再構築補助金は補助対象者について、「中小企業者」「「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人」「中堅企業等」に区分しています。

「中小企業者」について、「資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人であること。」と規定し、資本金と従業員を基準に補助対象者を決めています。

 

業種 資本金 従業員数 (常勤)
製造業、建設業、運輸業  3億円 300人
卸売業 1億円  100人
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)  5,000万円 100人
小売業  5,000万円 50人
ゴム製品製造業 (自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) 3億円 900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円 300人
旅館業  5,000万円 200人
その他の業種(上記以外)  3億円 300人

 

このように個人は「中小企業者」に含まれるので、個人事業主も事業再構築補助金を利用できるのです。

不動産業は、「その他の業種」に含まれますが、個人事業主であれば、資本金3億円、従業員300人を超えることはほとんどないでしょう。

したがって、不動産賃貸業を経営する個人事業主であれば、事業再構築補助金の対象になります。

土地の購入費は補助対象費に含まれる?

新しく土地を購入して、不動産賃貸業を経営したり、その土地を活用して事業を開始したい場合、土地の購入費は事業再構築補助金の補助対象となるのでしょうか。

結論から言うと、土地の購入費は補助対象費に含まれません。

事業再構築補助金の補助対象となるのは以下の経費です。

 

  • 建物費
  • 機械装置・システム構築費(リース料を含む)
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 研修費

 

残念ながら、土地の取得費用は補助対象に含まれていません。

土地を活用して、新しい事業を開始したい場合には、土地を借りたり、購入して自前で用意する必要があります。

土地所有者に事業再構築補助金がおすすめな理由

土地の取得費用は、事業再構築補助金の補助対象になりません。

しかし、建物費は補助対象として認められています。

事業再構築補助金の対象となる建物費は次のように定義されています。

 

  1. 専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費 
  2. 補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費 
  3. 補助事業実施のために必要となる賃貸物件等の原状回復に要する経費 
  4. 貸工場・貸店舗等に一時的に移転する際に要する経費(貸工場・貸店舗等の賃借料、貸工場・貸店舗等への移転費等)

 

このように建物費については広く定義されています。

遊休地を保有している土地保有者が、新事業のために建物を建設する場合や現状の建物の修繕費や撤去費にも充当できます。

通常、建物の建築や修繕には、多額の費用が必要となりますので、遊休地の保有者は土地を持て余していることがあります。

しかし、事業再構築補助金を利用すれば、少ない自己資金で、遊休地に建物を建築し、事業を開始することが可能です。

土地と事業再構築補助金に関する注意点

事業再構築補助金は、土地の取得費用には利用できませんが、建物費に利用できるので、遊休地の保有者に有利な制度です。

土地所有者であれば、積極的に利用したい制度ですが、利用に際しては注意点があります。

「補助対象だと思って、投資したのに補助金が支給されなかった」という事態にならないようにしっかり確認しておきましょう。

単なる土地や建物の購入には使えない

個人、法人問わず居住用の土地や建物の購入に補助金を活用することはできません。

事業再構築補助金は補助対象範囲が広いので、事業目的ではない居住目的の土地や建物の購入費用に充当できるのではないかと考える人もいます。

中小企業庁が公開している、事業再構築補助金 よくあるご質問【補助対象経費】では、以下の質問が掲載されています。

 

質問内容

建物の購入や賃貸、土地の造成費用は対象となるか

回答内容

本事業の公募要領で規定している建物費の対象には該当しません。

 

また、土地の取得費用については、公募要領に掲載されている補助対象経費に含まれていません。

建物費について、「建物の単なる購入や賃貸は対象外です 」という但し書きがあります。

事業再構築補助金に関する資料の一部の単語にだけ気を取られて、居住用の土地や建物の購入に補助金を活用できると思っている方がいるので注意しましょう。

新築の建築費は必要性を証明しないといけない

事業再構築補助金では、建物費が補助対象になります。

建物費には、以下の費用が該当します。

 

  • 建築費
  • 修繕費
  • 撤去費
  • 移転費

 

最も費用がかかるのは建築費でしょう。

遊休地を保有している場合、土地の建築費が補助されれば、新しい事業を始めやすいです。

しかし、建築費については、「建物の新築については必要性が認められた場合に限る」という但し書きがあります。

具体的には、「新築の必要性に関する説明書」を提出して、「補助事業の実施に真に必要不可欠であること及び代替手段が存在しない」ことを証明しないといけません。

 

また、中小企業庁が公表している「事業再構築補助金 令和3年度補正予算の概要」によれば、第6回公募から、建物費について以下の方針が示されました。

 

「建物費」については、原則、改修の場合に限ることとし、新築の場合には、一定の制限を設ける。

 

建築費は多額になる傾向があります。

1つの事業者に多額の補助金を交付するよりも、複数の事業者に広く補助金を交付したいという政府の考えが反映されていると推測されます。

現在の事業の継続では使えない

不動産を賃貸する投資家が既存の事業を継続する場合、事業再構築補助金の支給を受けることはできません。

事業再構築補助金は、コロナ時代に売上が減少した事業者が新規事業への参入や事業再編を実施する場合に、新しい事業に対して補助金を支給する制度です。

したがって、現在、不動産賃貸業を経営している大家が従前どおり不動産賃貸業を継続する場合には、補助金の支給対象外となります。

コロナ禍によって、入居者が決まらず、売上が減少していても例外とはなりません。

不動産賃貸業は補助対象とならない可能性がある

コロナ禍を契機として不動産賃貸業に新規参入する事業者は事業再構築補助金の支給を受けることはできない可能性があります。

事業再構築補助金の公募要領では、不動産賃貸業を名指ししないものの実質的に補助対象であることを否定しています。

 

・以下に該当する場合には、不採択又は交付取消となります。

 

③専ら資産運用的性格の強い事業 

④建築又は購入した施設・設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期 間賃貸させるような事業

 

単なる一戸建ての賃貸や一棟貸しなどの純粋な不動産賃貸業は補助対象とならない可能性が高いでしょう。

事業再構築補助金の対象になる不動産関連事業

純粋な不動産賃貸業は事業再構築補助金の対象にならない可能性が高いことを解説しました。

しかし、すべての不動産関連事業が支給対象外となるわけではありません。

「専ら資産運用的性格の強い事業 」に該当しない不動産賃貸業に付加価値のある事業であれば、事業再構築補助金の対象になる可能性があります。

どのような不動産関連事業が支給対象となるのでしょうか。

コンドミニアム

不動産賃貸ではなく、宿泊施設を運営します。

例えば、コンドミニアム経営が考えられるでしょう。

コンドミニアムとは、キッチンや洗濯機などの家電が供えられた宿泊施設です。長期間の宿泊やファミリーでの観光に適していると言えます。

海外では、日本以上にコンドミニアムに人気が集まっていますので、外国人観光客をターゲットにした観光業として成功できるかもしれません。

コテージ

コテージとは、いわゆる貸別荘です。

家具やシャワー、トイレなどがそろった一軒家貸切の貸別荘です。

単なる家具付き物件の賃貸ではなく、温泉付きのコテージやキャンプ場に併設されたコテージなど観光業という側面が強いです。

食事は提供されないので、バーベキューコースなどが提供され、気軽にアウトドアや自然を楽しむことができる点が魅力です。

まとめ

記事では、事業再構築補助金と土地の関係について詳しく解説しました。

事業再構築補助金は、土地や居住用の建物の取得費用に充当することはできませんが、遊休地を活用して新しい事業を始めたい方は利用できる制度です。

コロナ時代に思い切ってコンドミニアムやコテージなどの貸別荘といった宿泊施設を運営したい場合、事業再構築補助金を利用できる可能性があります。

事業再構築補助金を利用することで、自己負担を大幅に抑えて、新しい事業を開始することができます。

遊休地の保有者はぜひ利用を検討しましょう。

 

ハウスバードでは宿泊業のプロデュースを行っており、ホテルや旅館、コンドミニアム、貸別荘など幅広い業態の会社様のお手伝いをしています。「どのような補助金が使えるだろうか」という方はお気軽にご相談ください。

 

トップページ
お電話
お問い合わせ

お電話はこちら

03-6661-6025