保養所の購入や管理に使用した資金は経費計上可能?具体的な節税方法について解説!
社員寮・食堂といった従業員に対する福利厚生のために提供されている施設は福利厚生施設と呼ばれており、今回ご紹介する保養所もそのひとつ。企業価値向上や従業員満足度の向上のためにも重要な施設となりますが、いわゆる「ハコモノ」であることから、コストやリソースの面で経営を圧迫しがちであるという懸念があります。
保養所の購入や管理に使用した資金は経費として計上できるのか、詳しく知りたい方もいるのではないでしょうか?
当記事では、保養所の概要から、経費計上の可否、経費計上のための条件、経費計上できないケース、経費計上できない場合の対処法について解説していきます。
保養所とは?
保養所とは、企業や団体が従業員の保養や研修の実施等を行うことを目的に設ける施設のことです。自社で施設を保有するだけでなく、民間施設と法人契約を結ぶ契約保養所を提供する方法もあります。
保養所は主に福利厚生の充実を目的として用意される施設となりますが、以下のようにさまざまなメリットを得ることが可能。
・税務上のメリット
施設取得費用や運営管理費用を経費計上することで法人税等を節税。
・従業員満足度の向上
福利厚生施設を提供することによる従業員満足度を向上。
・研修やイベントへの活用
社屋以外で実施される研修やイベントの会場として活用。
近年では福利厚生の充実や企業価値向上のために、保養所の提供方法を見直す企業が増加。かつてはリゾート地等にさまざまな企業の類似の保養所が集積していましたが、現在ではその在り方も多様化しつつあります。
保養所の取得・運営・管理にかかる費用は経費計上可能!
保養所の取得・運営・管理には大きな資金を投じる必要があるため、負担を減らすために経費として計上したい方は多いでしょう。
福利厚生施設に該当する保養所は、福利厚生費として経費計上を行うことが可能。所得税から経費を差し引くことができるため、法人税等の納税額を低減して資金繰りの負担を減らすことが可能です。
保養所を取得する費用に関しても、建物部分に関しては耐用年数に応じて減価償却費として毎期の経費計上が可能となっています。
保養所には安くはない資金を投じることとなるため、税金・納税についての理解を深め、計上できる経費は漏れなく申告することが重要となります。
保養所にかかる費用を経費計上するための条件
保養所にかかる費用は経費計上が可能ですが、どのような場合でも経費として認められるわけではなく、条件が設けられています。
以下に、保養所の費用を経費計上するための条件について解説します。
平等な利用機会が与えられている
保養所の費用が福利厚生費として認められるには、社内の全ての従業員に平等な利用機会が与えられている必要があります。社員・役員など特定の人物や一部社員のみが利用可能となっている場合は、福利厚生費として認められない傾向にあるため注意が必要です。
平等な利用機会は、保養所を福利厚生費として計上するための前提とも言える条件であるため、特に留意しておきましょう。
提供する利益が妥当である
福利厚生の一環として提供される保養所は、利用者が受ける利益や恩恵が福利厚生として妥当であると考えられる範囲内であることも重要な要件です。豪華すぎる施設や過剰なサービスなど利用者が受ける利益が多すぎてしまうと、福利厚生の範囲を超えた贅沢であるとみなされ、現物給与として扱われて課税対象となる場合もあります。
そのため、保養所が提供する利益・恩恵は一般的に考えられる妥当な範囲内に収めておくことも重要となります。
社内規定が作成されている
保養所を福利厚生費として計上するためには、保養所の利用条件・利用費用といった概要を社内規定に記載しておくことも必要となります。社内規定は税務調査の際に確認される要件でもあり、作成されていないと経費計上が認められない場合もあるため、忘れずに作成を行っておきましょう。
保養所の利用実績・利用証明を記録している
保養所にかかる費用を福利厚生費として計上するためには、利用実態・利用実績について記録を行い、保養所を実際に利用していることを証明する必要があります。
仮に保養所を利用している実態があったとしても、その事実を証明できなければ経費として計上することができないため注意が必要です。
保養所を経費計上するのであれば、必ず記録を付けるようにしておきましょう。
保養所にかかる費用が経費として認められない場合
保養所にかかる費用は、経費として認められず計上できないケースもあるため注意が必要です。以下に解説していますので、経費計上できないケースとその理由について確認しておきましょう。
社長・役員のみが利用している
保養所が福利厚生費として認められるには、社長・役員といった特定の人物だけでなく、社員全てに平等に提供されている必要があります。もしこちらの条件を満たせていない場合は、福利厚生費として認められず、税務署に否認されるリスクがあるため注意が必要です。
保養所を経費計上するためには、機会の平等性が担保できているかを必ず確認しておきましょう。
利用者が受ける経済的利益・恩恵が多額
保養所の利用者が受ける利益や恩恵が、保養所としての妥当な範囲を超えている場合は、福利厚生費として認められずに計上できないケースがあります。この場合は、利用者が受ける利益と運営費の差額が現物給与としてみなされ、課税の対象となるため注意が必要です。
保養所の利用者が受ける利益が贅沢過ぎる場合には課税リスクが高まるため、妥当なラインを設定しておくことが重要となります。
保養所を経費計上できなかった場合は?
保養所を経費計上するための条件について解説しましたが、自社が要件を満たしているつもりでも、最終的な判断を行うのは税務署です。税務署の判断により保養所の福利厚生費を否認されてしまった場合は、経費計上することはできません。
もし保養所が経費計上できなかった場合には、収益を得ることを目的とした事業用不動産として施設保有を検討してみるのもおすすめです。事業用不動産であれば、事業実態が明らかであるため、以下の項目を確実に経費として計上できるためです。
・購入資金を試算計上して建物部分は毎年減価償却費として計上が可能
・購入に付随する費用として登記に関する部分は直接計上可能
・固定資産税・管理費・修繕費等の経費計上可能
収益物件として運営を行いつつ、自社の保養所として利用することもできます。
事業用不動産を保有するのなら貸別荘がおすすめ
保養所を兼ねることができる事業用不動産には、ホテル・旅館・賃貸物件などさまざまなタイプがありますが、これから保有するのであれば貸別荘がおすすめです。
その主な理由は以下の通り。
・ホテル・旅館等の宿泊施設よりも安価に購入できる
・近年貸別荘に対するニーズは高まっている
・収益不動産として運営可能
・不要な時に貸し出すことで不動産価値を維持できる
・保養所・保養施設としての活用も可能
このように収益性・管理性などさまざまなメリットが期待できます。事業用不動産兼保養所として貸別荘を検討している方は、総合的なコンサルティング・サポート事業を営んでいる弊社までぜひご相談下さい。
・ハウスバード株式会社|お問い合わせフォーム
https://housebirdjapans.com/contact
まとめ
保養所に使用した取得費用や維持管理費用といった資金を経費計上する方法についてご紹介してきました。保養所は福利厚生施設の一種であるため、条件を満たせば投下した資金は福利厚生費として計上することが可能。経費として計上することで節税に繋げることができます。
もし保養所の福利厚生費が認められない場合は、事業用不動産として管理運営を行い、保養所を兼ねるという選択肢がおすすめ。保養所に投下した資金を経費計上したい方は、ぜひ当記事も参考にして、自社の要望や状況に合った方法を検討してみて下さい。