COLUMN

コラム

保養所と利回り。利回りを上げるための具体的な施策とは?

保養所は企業が社員の健康増進を目的に設置する宿泊施設です。
高度経済成長期からバブル期にかけて多数建設されました。
企業の福利厚生の一環である保養所を廃止せずに宿泊施設として活用する事例があります。
ホテルや旅館などの宿泊施設を運営するうえで重視されるのが利回りです。
保養所を宿泊施設として運営する以上は高い利回りを目指して、さまざまな施策を実施しましょう。
本記事では、保養所の利回り計算方法や観光業界の動向、保養所の利回りを上げる方法などを解説します。

観光施設としての保養所

本来、保養所とは企業が社員の健康増進を目的に運営する宿泊施設です。
福利厚生の一環として設置され、社員は格安で宿泊できます。
バブル期に保養所の建設ブームが起こりましたが、バブル崩壊後は維持コストを理由に廃止する企業が増えました。
しかし、保養所を宿泊事業として運営する企業もあります。
宿泊客を社員に限定せず、一般に広げることで、ホテルや旅館のように運営するのです。
また、企業が手放した保養所を購入し、宿泊施設として運営することも考えられます。

保養所を運営するなら知っておきたい「利回り」とは?

保養所を宿泊施設として運営する場合、利回りが経営指標の一つになるでしょう。
利回りとは、投資額に対して、1年間の利益がどれくらいあるのかを数値化したものです。
投資物件の収益力を測る指標であり、宿泊施設を運営する場合に無視できません。
利回りは以下の計算式で求めることができます。

表面利回り(%)=年間収入÷投資額(物件購入価格)×100

例えば、バブル期に保養所を10億円で建設し、現在は宿泊施設として運営し、年間収入が1億円の場合の利回りは以下のとおりです。

表面利回り(%)=年間収入÷投資額(物件購入価格)×100
表面利回り(%)=1億円÷10億円×100
表面利回り(%)=10%

ただし、事業として保養所を運営する場合、当然に経費が発生します。
これらの諸費用は固定資産税や建物管理費、修繕費などです。
経費を考慮した利回りを実質利回りと言います。

実質利回りは以下の計算式で求めることができます。

実質利回り(%)=(年間収入-年間諸経費)÷(物件購入価格+購入時の諸経費)×100

先程の計算例で年間諸経費が2,000万円、購入時の諸経費が4,000万円として計算します。

実質利回り(%)=(年間収入-年間諸経費)÷(物件購入価格+購入時の諸経費)×100
実質利回り(%)=(1億円-2,000万円)÷(10億円+4,000万円)×100
実質利回り(%)=8,000万円÷10億4,000万円×100
実質利回り(%)7.692%

保養所を運営する場合、利回りに着目しましょう。

コロナ禍で観光施設の利回りが上昇

コロナの影響で宿泊施設を運営することにネガティブなイメージがあるかもしれません。
2020年5月26日に日本不動産研究所が公表した「第42回不動産投資家調査(2020年4月期)の結果について」によると、コロナ禍にも関わらず、東京、札幌、大阪、京都、福岡、那覇などの都市でホテルの期待利回りが上昇しました。
通常、不動産投資家は長期的視野に立って投資を行います。
コロナ禍で観光産業は一時的な打撃を受けているものの、「観光立国」を目指す官民の動きなど観光業界にプラスの要素も多いです。
依然コロナの脅威は残りますが、アフターコロナに備えて、保養所を本格的な宿泊施設として運営することが検討できます。

保養所の利回りを上げる方法


一般的にホテルや旅館などの宿泊施設は賃貸物件に比べて空室リスクが低く、高利回りを実現しやすいです。
利回りを上げる方法として、物件購入価格を抑えることが考えられますが、既に保有する保養所を宿泊施設に活用する場合、物件購入価格は下げられません。
したがって、それ以外の方法で利回りを上げる方法を検討しましょう。

高単価層を誘致する

同じ宿泊客数でも単価が高いほど全体の収益が高くなります。
例えば、一人客よりもファミリー層のほうが単価が高いです。
同じくらいの大きさの部屋でもファミリー層を入れた方が単価が高いので、年間収入が伸びるでしょう。
例えば、キッズルームや自然体験ができる施設など子どもに人気の施設があれば、ファミリー層の誘致につながるでしょう。
社員が家族と一緒に宿泊することを想定した保養所という性質上、ファミリー層誘致のポテンシャルは十分にあると言えます。
また、ファミリー層の中でも3世代のファミリー層を誘致できれば、単価がさらに上がります。

外国人観光客を誘致する

宿泊客数を増やしたい時に外国人観光客をターゲット層に設定します。
コロナの影響でインバウンドは下火ですが、コロナ前はインバウンド需要が爆発的に増加していました。
コロナ後にインバウンド需要を上手く取り込めれば、宿泊客数を増やし、年間収入を上げることが可能でしょう。
例えば、中国や台湾など日本への観光客が多い地域に広告を出したり、伝統工芸品の制作体験など日本でしかできない体験を提供するなど、さまざまな工夫が大切になります。
観光立国として官民挙げて外国人観光客の誘致に力を入れる中でその波に乗れれば、年間収入は大きく増えるでしょう。

空室を減らす

宿泊施設だけでなく不動産投資において空室を減らす努力は避けられません。
空室があると維持費だけがかかり、利回りを悪化させます。
ランニングコストの高い宿泊施設であれば、空室によってすぐに赤字に転落します。
空室を減らす方法として宿泊料金の値下げが考えられます。
しかし、収入の減少につながる恐れがあるので、適切にバランスを取る必要があります。
例えば、「宴会場に近く騒音問題がある」「景色が綺麗ではない」など「訳アリ部屋」を低価格で提供するといった工夫が考えられます。

経費を削減する

経費を削減できれば、年間の諸経費が減るので、利回りが向上します。
経費で大きな割合を占めるのは人件費です。
チェックイン対応や清掃、食事の用意など宿泊施設は人手を必要とします。
IT技術を活用して、ITで代替できる部分は積極的に置き換えることが大切です。
例えば、チェックイン対応や予約対応は自動化が可能です。
特にコロナ禍で宿泊率が低下するときには人件費を中心に経費を削減しないといけません。
ただし、宿泊施設で働く従業員のモチベーションを下げるような人件費の削り方は避けましょう。

リピーターを増やす

新規顧客開拓よりリピーターは継続的な利益が見込めます。
また、単価が高いことが多く、顧客獲得のコストは新規顧客の10分の1です。
観光客は新しい宿泊体験を求め、毎年異なる場所に泊まりたいと考えます。
したがって、リピーターを増やすことは簡単ではありません。
リピーターを増やすために接客や設備を整備し、最高の「おもてなし」を提供することが大切です。
仕組み作りとして、特典制度を作りましょう。
ポイント制度や会員制度を作って、次回以降宿泊すると価格面で優遇したり、客室のグレードアップを受けられるようにする方法です。

保養所を旅館やホテルに改装する?


本記事では、保養所の利回り計算方法や観光業界の動向、保養所の利回りを上げる方法などを解説しました。
バブル期に建設ラッシュがあった保養所は役割を終えつつあり、廃止の動きが広がっています。
しかし、保養所を旅館やホテルのように宿泊施設に活用することで、高い利回りを実現する収益性の高い物件として運営できる可能性があります。
ハウスバード株式会社は、旅館やホテルなどの開業支援サービスを提供しています。
同社は2022年4月時点で全国で50件の実績を持ち、魅力的な宿泊施設作りに貢献してきました。
これから宿泊施設を運営したい場合や運営する宿泊施設の利回りを向上させたい場合など、ぜひハウスバード株式会社に相談しましょう。

トップページ
お電話
お問い合わせ

お電話はこちら

03-6661-6025