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保養所事業とは?市場の動向や保養所を運営するメリットを解説

かつて保養所は企業の福利厚生の充実度を象徴するステータスでした。
バブル期には全国各地に保養所が建設されました。
しかし、バブル崩壊以降、保養所を廃止する企業や自治体が相次ぎ、かつての保養所周辺が荒廃しているケースも見られます。
保養所を運営することは時代にそぐわなくなっているのでしょうか。
本記事では、保養所事業に焦点をあてて、保養所事業の動向や保養所を運営するメリットなどについて解説します。

保養所事業とは?


バブル期に建設ラッシュが起きた保養所ですが、維持費がかさむ保養所を手放す企業や自治体も少なくありません。
会社の福利厚生事業、または一般客を呼ぶホテル事業としての意味合いがある保養所事業。
ここからは、「そもそも保養所とは?」から、保養所事業の定義やその変遷について解説します。

保養所とは?

保養所とは、企業や健康保険組合などが福利厚生の一環として運営する施設です。
社員の休養と健康を目的に運営されています。
企業が福利厚生事業として運営するものが多いですが、一部省庁や地方公共団体が住民のために設置するものがあります。
しかし、行政改革や財政の問題で廃止や民営化される施設が少なくありません。
保養所では、通常の客より割安な価格で宿泊施設を利用できます。
高度経済成長期からバブル期にかけて、保養所を運営することが会社のステータスとされた時代があり、特にバブル期に建設されました。
しかし、バブル崩壊後、保養所の維持費用に耐えかねて廃止する企業が増えました。
現在、保養所を保有することが必ずしもステータスとはみなされず、会社運営の保養所はバブル期と比べて減少しています。

保養所事業

事業としての保養所事業には2つの側面があります。
1つは会社が自社の社員に保養所を福利厚生の一環として提供するという側面です。
この場合、保養所事業を運営する目的は社員とその家族の安定、会社への忠誠心の醸成と社員の能力発揮となります。
保養所を保有する企業や健康保険組合の多くは福利厚生の一環として保養所を運営します。
2つ目はホテル事業として保養所を経営するという側面です。
利用者を社員やその家族に限定せず、広く一般を対象とすることで、ホテル事業として運営できます。
保養所の宿泊施設を利用してもらうことで、利益を獲得することが可能です。
保養所の運営を委託できる外部サービスもあり、これらのサービスはホテルとしての保養所のポテンシャルを最大限高めることを目的としています。

福利厚生としての保養所のニーズ

バブル崩壊以降、維持費がかさむ保養所を維持することを疑問視する声があります。
2015年の産経新聞の調査によれば、東京都23区の中で11区で自治体が保養所を運営し、年間で14億円以上の公金が支出されています。
しかし、保養所の中には利用率が低いケースもあり、「税金の無駄遣い」との指摘があるようです。
また、利用者目線でも保養所の存在意義を疑問視する見方があります。
2013年に人材紹介サービス「エン・ジャパン」が実施した調査によれば、「なくてもいい福利厚生」で2位に保養所がランクインしました。
年齢が若いほど保養所を不要と考える意見が多く、20代では49%、30代で38%、40代で37%が保養所を「なくてもいいもの」と回答しています。

保養所事業の魅力


「時代遅れ」とも言われてしまう保養所ですが、保養所事業を運営するメリットはあります。
保養所を廃止する前に保養所を有効活用することを検討してみてはいかがでしょうか。

社員の満足度向上

本来、保養所事業は社員への福利厚生事業の一環です。
会社利益のため働く社員に報いるため、保養所を設置し、ホテルなどの宿泊施設のスタッフからおもてなしを受けることで気分転換を図ってもらいます。
社員のやる気向上やモチベーション維持、健康増進といった目的で保養所が設置されているのです。
保養所事業を運営することで、社員の満足度が向上すれば、生産性の向上や離職率の低下といった目に見える効果をもたらすでしょう。
労働人口が減少する時代に社員の満足度向上を図る施策は利益を追求する企業にとって過小評価できません。

運営費用の経費計上

会社名義で保養所や別荘を購入し、社員が利用できる保養所として運営すれば、たとえ無償や低額での利用であっても、保養所の維持管理費用は福利厚生費として経費計上ができます。
借り上げの場合でも、保養所の運営にかかる費用は経費計上が可能です。
経費計上額が多いと、利益が圧縮され、結果的に法人税の節税につながります。
保養所に利用する施設の購入に際しては、耐用年数に応じた購入額が減価償却費として経費計上できます。
このように購入時と毎年の維持管理費用を経費計上し、節税できる点はメリットとして挙げられるでしょう。

収益を得られる

保養所をホテルなどの宿泊施設として一般客に公開している場合、保養所事業を経営することで得られる利益を獲得できます。
保養所はリゾート地など観光客で賑わう地域に建設されることが多く、ホテル事業として成功するポテンシャルを秘めています。
宿泊事業を本業としない企業の場合、外部の事業者に保養所の運営を委託することも可能です。
コロナ禍で中断しているものの日本は観光地としてポテンシャルがあり、コロナ後はインバウンド需要をうまく取り込むことで、ホテル事業がビジネスとして成功する可能性が大いにあります。
以前に福利厚生の一環として購入した保養所の施設を有効活用する手段として、注目されています。

保養所事業のデメリット


福利厚生としての保養所は廃止することが時代の潮流のようです。
保養所事業を運営することで企業にとってさまざまなデメリットがあるということが認識されています。

維持管理費がかさむ

保養所が全国各地に設置されたのは企業の羽振りが良かったバブル全盛期です。
当時は保養所が福利厚生の充実度の象徴であり、企業にとってステータスだったのです。
しかし、保養所などの「ハコモノ」は維持管理に費用がかかります。
バブル崩壊以後、経営に苦しくなった企業にとって保養所の管理やメンテナンス費用は大きな負担となっています。
保養所を保有することで社員の満足度が向上するかもしれませんが、直接的な利益を生み出すものではありません。
保養所の維持管理費は経営の足かせになる可能性があります。

福利厚生としての保養所の需要が減退している

上記のエン・ジャパンの調査にあるように、社員が保養所を必ずしも必要としていない可能性があります。
バブル期の保養所は社員やその家族が格安で利用できる点が魅力でした。
しかし、現在は家族の形態が変化し、未婚世帯も増えています。
休日の過ごし方が多様化し、必ずしも家族でリゾート地に出掛けることが最良の選択肢ではありません。
また、ホテルの形態も多様化し、消費者は幅広い選択肢から選べるようになりました。
宿泊場所や利用条件が限定される保養所は必ずしも魅力的な選択肢ではありません。

まとめ

本記事では、保養所事業の概要や最近の動向、保養所を運営するメリットなどについて解説しました。
今後も福利厚生としての保養所を廃止する動きは続きそうです。
事業として成立しなくなった保養所を持つ場合、新しくホテルや旅館として開業することを検討できます。
ハウスバード株式会社は、旅館やホテルなどの開業支援サービスを提供しています。
これまで全国の空き家や古民家を別荘として再生し、利益の出る施設へと変革した実績があります。
コロナの影響で一時的に国内外の観光需要が減退していますが、コロナ危機が終われば、観光需要が回復することが期待されます。
「使っていない保養所を活用したい」「コロナ後を見越してインバウンド需要を取り込みたい」などビジネスチャンスを掴みたい方はぜひハウスバード株式会社に相談してみましょう。

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