民泊の【本当のデメリット】とは。成功に導く経営のコツを伝授
経営者が覚えておくべき民泊のデメリットは、需要の低下・ニーズの変化・コロナのような感染症に弱い点です。インバウンドがメインターゲットなら、世界情勢にも影響を受けるでしょう。
一方でインバウンドは右肩上がりに増え続けており、2024年3月の国内宿泊者数は延べ約5486万人(前年同月比8.2%増)で過去最高を記録するなど、追い風が吹いていることも事実です。
本記事では、民泊経営を考えている方にとって本当に知っておくべきデメリットとその対策、民泊経営を成功に導くためのコツを解説します。
民泊とは?
民泊は文字通り「民家に泊まること」。戸建住宅やマンション・アパートの一室などを、有料で貸し出すビジネスを指すのが一般的です。民家の所有者と利用者を結びつけるマッチングサービスが誕生したことにより、世界中に普及しました。
法令上の定めはありませんが、住宅(戸建住宅、共同住宅等)の全部又は一部を活用して宿泊サービスを提供することを指します。住宅宿泊事業法による住宅宿泊事業の届出を行う場合や、国家戦略特別区域法の特区民泊の認定を受ける場合を除くと、簡易宿泊営業として旅館業法上の許可を取得して実施する場合が一般的です。
※引用元:厚生労働省「民泊サービスと旅館業法に関するQ&A」 |
民泊のメリット
民泊は安くて快適な宿泊施設として人気を集めており、貸主にもさまざまなメリットがあります。特にローリスク・ハイリターンが期待できる点は大きな魅力といえるでしょう。
▼民泊のメリット
- 少額の投資で高い利益率を達成できる
- 高収益物件としての売却できる
- 多拠点展開しやすい
- 地域貢献・社会貢献につながる
- 外国人との交流を通じ人脈が形成される可能性も
それぞれ詳しく解説します。
少額の投資で高い利益率を達成できる
民泊施設(物件)の取得方法は大きくわけて「空き物件を購入する」か「自己所有の物件で始める」かです。いずれにせよ新築しない限り、初期投資額は大幅に抑えられます。
規模によりますが寝具、家具、調理器具、生活用品などを一式揃えるコスト、内装・水廻りのリフォームを合わせても数百万円から1,000万円ほどに収まることがほとんどでしょう。
自己所有の空き家がある方にはさらに好都合です。物件の取得費用がかからない上、固定資産税などで負担になるだけの空き家を収益化できる民泊は、空き家を所有する方にとって第一選択といってもよいほど、おすすめの活用事例です。
▼開業費・運営費・管理費などについてはこちらの記事にまとめています。
高収益物件として売却できる
シェアリングエコノミー協会と情報通信総合研究所(ICR)が共同で実施した「日本のシェアリングサービスに関する市場調査」によれば、日本におけるシェアリングエコノミーの市場規模は、2020年度で3429億円となっています。
予想では、2025年度は5913億円、2030年度はベースシナリオで9715億円と拡大する見込みです。
本来であれば賃貸希望者のいない空き室は資産価値の低い不動産ですが、民泊ブームの影響で空き室が高収益物件として注目されています。
市場では、民泊に利用できる空き室を買い占める動きも見られています。
住宅宿泊事業法に沿った許可の取得や届出を行った上で民泊事業の運営に成功することで、民泊事業の収益をベースに不動産の資産価値を計算し、売却することができます。
多拠点展開しやすい
少額の投資で始められてランニングコストも抑えられる民泊は、多拠点展開しやすい点も大きなメリットです。さまざまな観光地に民泊施設を構えればリスク分散にもなります。
またエリアごとの特色やニーズに合わせた戦略を練り、仮にそれがヒットした場合、非常に「おもしろく、やりがいのある事業」となるはずです。
結果として、新たなビジネスチャンスの創出にもつながるかもしれません。
地域貢献・社会貢献につながる
従来、空き家は賃貸経営やシェアハウスなどにしか活用できませんでしたが、現在は民泊施設としても活用できます。
日本には900万戸という膨大な数の空き家があり、地域の景観や治安悪化などの問題を引き起こしています。
微々たるものかもしれませんが、空き家を民泊施設にすることで地域貢献・社会貢献にもつながります。
※参考:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」
外国人との交流を通じ人脈が形成される可能性も
世界各国の旅行者とコミュニケーションが取れる点も、ホテルや旅館にはない民泊の魅力です。利用者は海外の一般人だけとは限りません。
起業家や実業家、投資家、あるいは日本で事業を起こそうと思っている人など、さまざまな人たちが民泊を利用する可能性があるのです。
世界各地にコネクションができ、思わぬところから人脈が生まれれば、ビジネス拡大のチャンスにつながっていく可能性があります。
民泊のデメリット・リスク
民泊経営をする上でメリットよりも大切なことが、デメリットを正しく理解すること、リスクに対して事前に手を打っておくことです。
▼民泊のデメリット・リスク
- 需要の低下、ニーズの変化に弱い
- コロナのような感染症に弱い
- 年間営業日数の上限が180日である
それぞれ詳しく解説します。
需要の低下、ニーズの変化に弱い
京都のように、普遍的な需要を持つエリアなら重要な問題ではないかもしれません。しかし観光客からの需要が低下した場合、エリアによっては集客率の大幅な低下につながるおそれがあります。
また、たとえば感染症対策の一環として、これまでの対面による接客から非接触・非対面を求める時代に変化したように、利用者が民泊に求めるもの(ニーズ)も変化します。
非対面ならスマートロックを導入することで解決できるでしょう。しかし需要の低下、ニーズの変化など大きな、かつ対外的な要因に対して民泊はやや弱いと言わざるをえません。
失敗しないためには、エリア選び、物件選びが大切であることはもちろんですが、発想の転換など経営者の手腕や先見力・対応力も求められます。
コロナのような感染症に弱い
周知の通り、コロナ禍ではインバウンドはもちろん、国内旅行者さえも激減し多くの宿泊施設が閉業や廃業に追い込まれました。
2024年7月現在、インバウンドや宿泊者数はコロナ禍前に迫る勢いで回復してきていますが、新たな感染症が拡大すれば一気に落ち込むリスクがあります。
需要の低下やニーズの変化とあわせて、コロナのような感染症に弱い点も民泊のデメリットでありリスクです。『民泊経営者に求められる成功への秘訣』も参考に、リスクに強い民泊施設の運営を目指しましょう。
年間営業日数の上限が180日である
民泊事業者が遵守を求められる法律のひとつに住宅宿泊事業法(民泊新法)があります。健全な民泊サービスの普及を図るために整備された法律で、民泊事業の定義を
「旅館業法3条の2第1項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて届出住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数が180日を超えないもの」
と定義しています。「人を宿泊させる日数」なので、実質的に「営業日は年間180日以内」と解釈できます。
無許可で民泊を運営したり、管理者を設置しない事業者が違法に運営したりするケースがあったことから設けられた規制です。
1年のうち半分しか運営できない点は機会損失=デメリットとなります。ただし上手く立ち回ることは可能です。『民泊経営者に求められる成功への秘訣』を参考に、地域の特性などに合わせた戦略を練りましょう。
民泊でよくあるトラブル・注意点と対策
続いて、デメリットというほどではありませんが民泊を経営する上でありがちなトラブルや注意点、その対策について解説します。
破損、汚損、備品の盗難等のリスク
不特定多数が利用する民泊には、さまざまなリスクがつきまといます。よくあるトラブルとして
- 屋内に大量のゴミが散乱していた
- トイレなどの水回りが汚損された
- 備品が破損・盗難された
などが挙げられます。ハウスルールを設けて、多言語での注意書きや事前説明などを徹底することは基本ですが、言語が異なると意図した通りに伝わらず、トラブルに発展するおそれも。
異文化に対してある程度の許容は必要ですが、ペナルティを明示する、カメラを設置することも有用ですし、ホテルや旅館、他の民泊施設などがどのような対策を講じているのか、アイデアや手法を共有してもらうのもおすすめです。
近隣からの苦情のリスク
住宅街に民泊施設を構える場合はとくに注意が必要です。開放的になった旅行者が夜遅くまで大声で騒いだり、ゴミを放置したりして苦情につながるケースも散見されます。
利用者のモラルに委ねられるため難しい部分ですが、エリアを選定する際にそういったトラブルがなかったか、住民が好意的かといった部分は確認しておきましょう。
日本の常識が通じないことがある
たとえばチェックイン・チェックアウトの時間に平気で遅れる、土足で部屋に入るなど、日本では常識と思われるところが当たり前ではない文化もあります。
さまざまな文化・思想・バックボーンがあることを理解し、経営者みずから異国の文化や言語を学ぶといった姿勢も大切になってくるでしょう。
民泊経営者に求められる成功への秘訣
民泊で成功するためには、エリアや物件選び、競合他社との差別化(独自の強み)を持つとともに、デメリットやリスクによるダメージを最小限に抑えることが大切です。
- ニーズの変化など想定外の事態への備え
- 年間営業日数の上限180日への備え
- 競合に勝つためのアイデア、競争力
- 民泊事業の現状を知ることも大切
本稿ではおもに、こうしたところに焦点を当てて解説します。
ニーズの変化など想定外の事態への備え
エリアの需要の低下やニーズの変化、新たな感染症の発生などは、経営者ひとりの力で対策できることではありません。しかしリスクマネジメントは可能です。
- 多拠点展開をする
- 流用可能なビジネスの準備をする など
あくまで一例ですが、たとえば異なるエリア・趣の民泊施設を複数展開することはリスク分散につながります。他の施設が回っていれば、次の一手を考える余裕も生まれるでしょう。
また、流用可能なビジネスといってもなかなか思いつきませんが、たとえば近年拡大を続けている分野として、ペットと飼い主が滞在できるリゾート・宿泊施設、あるいはペットケア施設(老犬ホーム等)などが挙げられます。
ペット関連施設を運営できるかどうかは立地によりますが、人気のリゾート近くに民泊施設を構えていれば、大幅な改築を必要とせずペット同宿可の施設に流用できる点などはメリットでしょう。
年間営業日数の上限180日への備え
1年のうち半分近くは営業できない点はデメリットですが、発想を転換すればチャンスです。地域特性のイベントや観光シーズンに合わせて営業する、民泊として営業しない間は別荘として1日単位で貸し出す、マンスリーマンションやイベントスペースとして貸し出す方法もあります。
年間営業日数180日などの上限がない貸別荘は、こちらの記事で詳しく解説しています。
競合に勝つためのアイデア、競争力
エリアの特性をよく知ることが大切です。たとえば、そこでしか味わえない郷土料理が楽しめる。これは海外からの旅行者にとっても大きな魅力となるはずです。
田舎に民泊施設を構えるなら農業体験、器などのモノづくり体験といった付加価値を提供することもできるでしょう。
また利用者の属性を把握することも独自性の創出につながります。観光庁のデータによれば、民泊利用者の5割は日本人、外国人でもっとも多いのが韓国人(※1)です。
韓国人の民泊利用者が多い理由は「安さ」。訪日韓国人1人あたりの旅行消費総額は低く、宿泊費用も同様となっています(※2)。そのため安さをPRすることで、訪日韓国人の利用者を増やせる可能性があります。
属性やデータを活用して競合にはないコンテンツやサービスを生み出し、競合他社との差別化を図ることも大切です。
※1:参照|国土交通省 観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」
※2:参照|国土交通省 観光庁「インバウンド消費動向調査」
まとめ
民泊経営はエリア選定・物件選定・戦略を誤らなければ、少ない投資で安定した収益を獲得できる上、多拠点展開もしやすい非常に魅力ある事業です。
しかし競合の参入も増えてきています。民泊経営で成功を収めるには、心強いパートナーを味方につけることも大切です。
私たちハウスバードは、エリアや物件選びから運営までワンストップでお役に立てるのが強み。もちろん、民泊経営で困ることが多いゲスト対応などもお任せください。
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