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キャンプ場の経営で儲ける・安定的に稼ぐ知識とリスクを解説

2022年に年間宿泊日数7.2泊、回数5.4回といずれも過去最高を記録し、平日キャンパーも増えるなど、堅調な伸びを示しているキャンプ市場。投資や土地活用が初心者の方にも、今キャンプ場経営がおすすめです。

 

ただオフシーズンの集客、競合との差別化など難しい側面もあるため、入念な戦略は欠かせません。本稿ではキャンプ場経営で成功するために必要な知識と、リスクおよび対策をまとめています。

 

必要な許可・開業資金・収益源・独自性を生み出すヒントなどとあわせて、ぜひ参考にしてください。

 

キャンプ場の経営が儲かる根拠

キャンプ場の経営は投資初心者にもおすすめの分野です。もちろんどの事業にも失敗のリスクはありますが、キャンプ場の経営は以下のような理由から、儲かりやすい・収益の安定化が図りやすい分野といえます。

年間平均キャンプ泊数が過去最高を記録

2023年7月13日に日本オートキャンプ協会が発表した「オートキャンプ白書2023―平日キャンプ人気急騰」によると、2022年の年間平均キャンプ泊数は7.2泊となり、初めて7泊を超えました。またキャンプの回数も年間5.4回と、こちらも初めて5回を超えたとのことです。平日キャンパーが50.1%と半数を超えたことも、泊数・回数の増加に影響しているでしょう。もちろん、泊数や回数の増加にともないキャンプ場の稼働率も上昇しています(以下グラフ)。

伸び率は緩やかですが、コロナ禍を除き堅調に拡大していることがわかります。また日本オートキャンプ協会が、2023年の夏休み期間(7月1日〜8月31日)の営業状況をアンケート調査したところ、全国112のキャンプ場から回答が得られ、平均稼働率が33.4%だったという結果も出ています。

 

ただ近年、猛暑や台風などの影響から「キャンプのベストシーズンは夏」という従来の考えから変化が見られるとのこと(ゴールデンウィーク期間は平均稼働率60%)。夏休み期間が“ベストシーズン”でないにもかかわらず30%を超える稼働率を実現できていることからも、極端な「閑散期」は工夫次第で避けられる可能性が高いでしょう。

 

※日本オートキャンプ協会「キャンプ場夏休み営業状況レポート2023(概要)

事業再構築補助金の成長分野として認定

「キャンプ場・グランピング事業」は、経済産業省・中小企業庁が実施する事業再構築補助金において「成長枠(成長分野進出枠)」の対象業種として認められました。これは「市場規模が10%以上拡大している(将来拡大する)」という要件を満たしたということで、国も成長産業に認定したことを意味します。新規参入が増加する可能性がある分野ですので、先発優位というと極端ですが、キャンプ場経営を検討している方は早めに動き出すことが望ましいでしょう。

 

キャンプ場経営のメリット

キャンプ場経営には以下2つのメリットがあります。

  • 土地と少額の投資だけで始められる
  • 市場の伸びが堅調・集客が期待できる

それぞれ詳しく説明します。

土地と少額の投資だけで始められる

キャンプ場の種類・経営スタイル」で詳しく説明していますが、たとえば利用者みずからテントを張るためのスペースと駐車場、炊事場程度のシンプルなキャンプ場であれば、初期投資はほとんどかかりません。ある程度整地された土地ならなおさら初期費用を抑えられるでしょう。

  • 一定期間だけキャンプ場経営を考えている
  • 何かあったらすぐに手を引ける状態で始めたい
  • 土地にはできるだけ手を加えずに収益化したい

こうした方には特に向いています。

 

また今現在営業しているキャンプ場のなかには、第一次キャンプブーム(1990年代頃)に開業したところも少なくありません。経営者も高齢となり、後継者を探しているところに事業継承を申し出る方法もあります。ノウハウを引き継げるだけでなく、すでに固定客がついた状態でスタートできますので、初心者の方も収益化のハードルが下がって始めやすいでしょう。

市場の伸びが堅調・集客が期待できる

上述のように、キャンプ市場は堅調な伸びを示しています。その背景には

  • コロナなどの感染症の影響を受けにくい
  • 平日キャンパー、ソロキャンパーが増えている
  • 夏だけでなく通年楽しむ人達が増えている
  • 自由な働き方・生き方を選ぶ人が増えている

などの理由があると考えられます。生き方・ライフスタイルそのものが多様化し始めたことから、一過性ではなく持続的な成長が見込める分野でもあります。事業再構築補助金の対象業種に認定された背景には、こうした時代の変化・ニーズの変化が影響しているのかもしれません。

 

キャンプ場経営のデメリット・リスク

キャンプ場経営は可能性のある事業ですが、弱み・デメリット・リスクも当然ながら存在します。天候の影響による収益減は避けられませんが、本稿ではおもにそれ以外の

  • オフシーズンの集客が悩み
  • 競合他社との差別化が必須

この2点に絞って、対策とともに解説します。

オフシーズンの集客が悩み

近年、夏に限らず通年でキャンプを楽しむ人が増えていますが、それでも繁忙期と閑散期があるのがキャンプ場経営です。閑散期とは具体的に11〜4月頃を指します。年間通して安定した収益を上げづらいところは、キャンプ場経営のデメリットといえます。

 

ただ前もって閑散期のめぼしが付くわけですから、開業前に対策を講じることは十分可能です。通年楽しめるキャンプ場にするならロッジ・コテージ・バンガローなどの施設を併設する方法もありますし、冬場は団体客に積極的にアプローチすることで稼働率が下がっても利益率を確保するといったことができるでしょう。

競合他社との差別化が必須

新規参入が増える可能性がある分野ですので、継続的に安定した収益を上げるには競合との差別化が必要です。星空がキレイ、夜景がキレイ、自然が美しい、山の幸が豊富、おしゃれ、女性でも安心(女性専用)、ソロキャンパー専用、温泉付き、地元の食材を生かした飲食店がある…そのエリアや土地の特性を生かした強みを味方に付けたいですね。

 

また設備にこだわることも大切です。ログハウスメーカーのビックボックス(栃木県宇都宮市)の調査によれば、キャンプ場を選ぶときに重視するポイントの第1位は「ロケーション」、2位は「設備」でした。このうち設備は、キャンプ場経営が初めての方でも十分、競い合える要素です。キャンパーがキャンプ場に求める設備とは、以下のようなものです。

こうしたデータを収集し、キャンパーが求める最新のニーズを確実に提供すること、その上で他のキャンプ場にはなかなかない、独自の魅力を創出することが大切です。

 

キャンプ場の種類・経営スタイル

どのようなキャンプ場にするのかイメージを固めることも大切です。おもに以下4つのスタイルについて、違いを見ていきましょう。

 

  • 野営キャンプ場
  • オートキャンプ場
  • グランピング施設
  • ロッジコテージ・バンガロー施設

 

それぞれ解説します。

野営キャンプ場

整地されていない、設備が不十分といった山地・原野をそのまま貸し出すキャンプ場です。初期投資はほとんどかからないメリットがあり、また火災などが発生した際も原則としてキャンパーが責任を負うことになっています。そのため経営者としては負担がないスタイルですが、上級者でないと難しいなど、収益性を確保するという点ではあまり向いていません。

オートキャンプ場

車(オート)で直接乗り入れることができるキャンプ場のこと。車のすぐ横にテントを張ることができるため荷物を運ぶ手間がなく、また天候不良や寒さなどで一時避難したいときもすぐに車に戻れるなど、利便性が高く人気のスタイルです。区画分けがされている区画サイトと、自由にテントを張れるフリーサイト、サイト内にガレージが設けられたガレージサイトといったタイプもあります。サイトとは、実際にテントを張ってキャンプをするスペース(フィールド/場所)のことです。

グランピング施設

グラマラスとキャンピングを合わせた造語です。テント内にベッドや家具、テーブル、テントなどが配置されており、自然の中で優雅に・普段の暮らしとさほど変わらないスタイルでキャンプを楽しむことができます。食事付きのプランを提供している施設も多く、テントや食事の準備など面倒なこと抜きで自然を満喫できる人気のスタイルですペットといっしょにキャンプをしたいといった人々からも高い支持を得ています。

ロッジ、コテージ、バンガロー施設

宿泊施設が整っているキャンプ場のことで、食事を提供するところも少なくありません。そのためキャンプというよりは、旅館・ホテルなどに近いスタイルといえます。キャンプは楽しみたいけどテントを張るの面倒、虫が苦手、子連れなのでテントでは不安、冬は暖かい場所で寝たいなどという人たちにニーズのあるスタイルです。

 

必要な許可・免許は営業スタイルによって変わる

キャンプ場を経営する際は、さまざまな許可や免許などが必要になりますが、特にどのような営業スタイルをとるかによっても変わってきます。経営するにあたって必ず知っておきたい許可・免許をまとめました。

【旅館業の営業許可】

「宿泊料」を徴収する場合は旅館業(宿泊業)の営業許可が必要です。ロッジ、コテージ、バンガローといった施設をともなうキャンプ場を経営する場合は必須と考えてよいでしょう。一方、利用者が持参するテントや、貸出用のテントなどに宿泊するキャンプ場では必要ありません。

【飲食店の営業許可】

おもにグランピング施設などで、食事を提供する場合は飲食店の営業許可が必要です。バーベキューの場所のみを貸し出すのであれば不要です。ただし、火を扱いますので管轄の消防署に防火対象物使用開始届を提出する必要がある点も覚えておきましょう。また必要な申請・届け出は自治体で異なることも多いので、管轄の保険所に事前に確認しておくと安心です。

【酒類販売業免許】

ボトルや缶に入ったアルコール類を販売するなら、酒類販売業の免許が必要です。とくにバーベキュー場を併設するなら、アルコールも販売できたほうが収益を上げやすいですよね。深夜0時以降にアルコールを提供する場合は、深夜酒類提供届けも必要になるので覚えておきましょう。必要な届け出や申請方法などは、念のため管轄の税務署に確認しておくと安心です。

【林地開発許可】

自己所有の森林だったとしても、1ha(100×100m)以上の森林伐採または開発、あるいはその両方をともなうときは、事前に林地開発許可が必要です。1ha未満であれば不要ですが、伐採と伐採後の造林の届け出などは必要なので注意しましょう。書類が多く時間もかかるため、事前に管轄の自治体に問い合わせておくとスムーズです。

そのほかに必要な届け出・許可

  • 都市計画法に基づく建築確認:管理棟といった施設を建築する際に必要
  • 公衆浴場法に基づく許可:浴場やサウナなどを併設する際に必要

一例ですが、キャンプ場に含める施設や営業スタイルによっては、こうのような届け出・許可も必要になります。思いのほか時間がかかることもあるため、事前のリサーチと準備が大切です。

 

開業に必要な資金・開業までの流れ

開業資金は800〜1,000万円程度を見ておきましょう。また開業までの期間はキャンプ場の種類・土地の有無・整地の必要性などさまざまな要因で変わりますが、半年以上見ておいたほうがよいケースもあります。

開業資金の目安|800〜1,000万円以上は確保したい

  • 土地の取得費用
  • 建設費用
  • 設備の導入費用
  • 備品の購入費用
  • 整地費用
  • 各種許可・申請費用
  • 当面の運転資金
  • 宣伝広告費

キャンプ場の規模や土地の有無、導入する設備などによっても変わりますが、キャンプ場を開業するにあたっては上記のような費用が必要になります。自己所有の土地や野営キャンプ場の経営、事業継承などで受け継ぐ場合はコストを大幅に抑えられますが、一般的には少なくとも800万円程度、できれば1,000万円以上は用意しておくことをおすすめします。

開業までの流れ|半年ほどは見ておきたい

  • 信頼できるパートナーを見つける
  • 営業スタイルとターゲットを決める
  • 事業計画を立てる
  • 土地を取得する
  • 整地・建築など必要な工程を進める(届け出等も平行して)
  • 広告を打つ
  • 開業

許可が降りるまで時間がかかることがあり、また整地などが必要な場合はさらに時間がかかるため、すぐに始められる環境の方以外は半年程度を見ておいたほうがよいでしょう。特に、はじめに信頼できるパートナーを探すことが何よりも大切です。

 

収入源とランニングコスト

キャンプ場経営で収益を上げるには、収入源とランニングコストを把握しておかなければなりません。おもな収入源と、一般的に考えられるランニングコストをまとめたので参考にしてください。

キャンプ場のおもな収入源

  • サイトや施設利用料、駐車料、宿泊料など
  • キャンプギアや設備・器具レンタル料
  • 飲食店や売店売上
  • アクティビティなどの体験料

オートキャンプ場などはサイト(スペース)利用料、ロッジやコテージであれば宿泊料収益が得られます相場としてはサイト利用料平均4,000円、ロッジやコテージ5,000円~10,000円、高級グランピング施設になると数万円の宿泊料見込ます。

必要なランニングコスト

  • 人件費
  • 清掃費
  • 水道光熱費・通信費
  • 修繕費
  • 保険料
  • 宣伝広告費

多くを占めるのが人件費ですが、削りすぎると十分なサービスを提供できなくなるおそれがあるため、適切な相場を把握することが大切です。規模が大きくなってきたら正社員を管理職として配置し、繁忙期は短期アルバイトを雇用すると効率的す。

 

キャンプ場経営を成功させるためのポイント

キャンプ場に限ったことではありませんが、成功を収めるには経営者のセンスと発想が大切になります。

売上をアップさせるヒント

集客ですね。とくに近年増えている平日キャンパーに着目しましょう。キャンプ場の平均稼働率上昇の大きな要因となった平日キャンパーのなかには、ソロキャンパーも多く含まれています。つまりソロキャンパー向けの施策を打ち出すことは、売上アップを目指す上で欠かせないポイントとなってくるでしょう。

 

またそのソロキャンパーは、意外とキャンプ初心者も多いのが特徴です。初心者向けの施策(手ぶらOK、安心できる等)を考えることも大切になります。そのほか、清潔感・安全性・快適性などキャンプに求めるものもどんどん変化しています。信頼できるパートナーとともに、ニーズの変化を正しく捉えて効果的に手を打つことに集中しましょう。

コストを抑えるヒント

闇雲に宣伝広告費を使わないようにすることが大切です。利用してほしいターゲットに絞り込んでピンポイントで広告を打つ、ソロキャンパーのインフルエンサーと手を組むなど、コストを抑えて認知度を高める方法はいくつもあります。

コンセプト・強み・独自性を打ち出す

他のキャンプ場との違い、当キャンプ場だけの強みなど、独自性があると話題にも登りやすく、結果として集客にもつながります。たとえば満天の星空が楽しめるキャンプ場なら、透明なドームテントを用意して、夜はテントのなかで安全にかつ非日常感を味わいながら星空を眺められるなど、そこでしかできない体験を用意するのもおすすめです。

十分な資金を用意しておく

閑散期があるほか天気に左右されるため、異常気象の年などは想定以上に売上が落ちてしまうおそれも。不測の事態に備え、まとまった資金を用意しておくことも大切です。経営実績がない方は、日本政策金融公庫の創業融資が候補に挙がります。

 

魅力的なコンセプトを打ち出せるのであれば、クラウドファンディングで資金を募るのもひとつの方法です。出資の返礼としてキャンプ場へ招待すれば出資金も集めやすくなるでしょう

トレーラーハウスというアイデアも

タイヤが付いたシャーシー(フレーム)の上に、家(構造物)を載せたものをトレーラーハウスと呼んでいます。おしゃれな飲食店や個人の事務所、セカンドハウスなどさまざまな分野で活用されており、トレーラーハウスを客室としたホテルも登場しています。

 

そのトレーラーハウスをキャンプ場に設置するというアイデアもあります。トレーラーハウスを導入しているキャンプ場はそれほど多くないため話題性もあり、飲食店や浴場(サウナ)といった施設に転用しやすいメリットもあります。移動が可能なので、オフシーズンには暖かいエリアに移動して経営を続ける、といったこともできるかもしれませんね。

経営者同士の交流で情報交換を

他のキャンプ場経営者と交流を持っておくと情報交換ができます。最新のニーズ、キャンパーの動向、他のキャンプ場で起こったトラブルや受けたクレームからリスクヘッジを学ぶなど、自身のキャンプ場経営に取り入れるヒントがたくさん転がっているはずです。

まとめ

キャンプ場経営は投資が初めて、土地活用が初めてという方にもおすすめです。初期投資を抑えて始められる上、市場が堅調に伸びていますので今後も安定的な収益が見込めるでしょう。とはいえ当然、成功するためにはエリアの選定やターゲットの絞り込み、競合他社との差別化など考えなければならないことは数多くあります。

 

私たちハウスバードは土地活用のプロとして、マーケティングからエリアの選定、運営までワンストップでお任せいただける実績と知識・経験を備えた集団です。

 

投資としてキャンプ場経営を考えている

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