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採択されやすい?レンタルオフィス事業の事業再構築補助金について解説

コロナ禍で事業再構築補助金を活用した新たなビジネスを行う事業者が増加傾向にあります。なかでもテレワーク・リモートワークなどの普及でレンタルオフィス事業が注目を集めています。レンタルオフィス事業は、事業再構築補助金の対象となるのでしょうか。そこで今回は、事業再構築補助金の仕組みとレンタルオフィス事業の事業再構築補助金について解説します。

事業再構築補助金制度とは?

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編、これらの取組を通じた規模の拡大等に​​チャレンジする中⼩企業や個人事業主などを対象とした補助金です。

令和2年度3次補正予算では1兆1,485億円、令和3年度補正予算でも6,000億円を超える額が組み込まれています。

7次の公募が2022年9月30日まで受付中です。(8月31日現在)

通常枠・大規模賃金引上枠・回復・再生応援枠・グリーン成長枠・緊急対策枠の5つの事業類型があります。

 

事業再構築補助金の主な申請要件

売上減少要件

2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前(2019年または2020年1月〜3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較し、10%以上減少していることです。

 

また、2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3ヶ月間の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較し、5%以上減少していることです。

上記の要件に該当しない場合でも、以下の要件で申請可能となります。

2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していること。

2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3か月の合計付加価値額と比較して7.5%以上減少していること。

 

 事業再構築に取り組む

事業再構築指針に沿った、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編などを行っていること。

 

詳細は、経済産業省「事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)」をご確認ください。

(参考:経済産業省「事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)」)

https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0730

 

認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

事業計画書を認定経営革新等支援機関(認定支援機関)と策定します。

認定支援機関とは、中小企業庁が2012年に創設したもので、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上あるものとして、国の認定を受けた支援機関を指します。

例えば、税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関などです。

補助金額が3,000万円を超える案件の場合は、金融機関(銀行や信用金庫、ファンドなど)が参加して策定します。

金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで策定します。

不動産に関連する事業再構築補助金の主な採択事例

不動産業者が事業再構築補助金の対象になるのか、気になる方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、不動産業者は事業再構築補助金の申請が可能です。しかし、単純な不動産賃貸業は採択されにくい、または不採択となるケースがあります。

主な採択事例は、以下のとおりです。

ICT活用×専門性による海外リゾートのハワイコンドミニアムの販売、ペット同伴可能な1棟貸コテージによるリゾート宿泊とワーケーション環境の提供、 一軒家貸切スタイルの「ハウススタジオ」事業への新参入、ワーケーション滞在の新規獲得に特化したコワーキング機能付宿泊施設、一戸建てなどの中古住宅および空き家を活かしたリノベーション型注文住宅事業の展開など。

レンタルオフィス事業は事業再構築補助金の対象になる?

テレワーク・リモートワークなどの普及でレンタルオフィスの需要も高まっています。

レンタルオフィス事業には、建築費や建物の改修費が必要になります。

これらの費用を事業再構築補助金でまかなうことが可能です。

 

事業再構築補助金の対象となる経費は、以下の通りです。

  • 建物費
  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝・販売促進費 
  • 研修費
  • 海外旅費

 

特に建築費が高く、​​ほとんどの補助金では対象とはなりません。しかし、事業再構築補助金では、経費の範囲となるため、比較的に事業を始めやすいのがメリットと言えます。

したがって、業態転換や新分野展開として空き家などを活用したレンタルオフィス事業を始める事業者が増えることが予測できます。

そもそもレンタルオフィスとは?

レンタルオフィスとは、​​イスやデスク、通信設備(インターネット)などの環境が整備されているオフィスを指します。

1978年にオーストラリアの起業家アルフ・モーフォレッジ氏がビジネスモデルを立ち上げたといわれています。

一般的な賃貸オフィスは、オーナーと賃貸借契約を交わし、内装工事やインターネット環境を整備する工事が行われます。

しかし、レンタルオフィスは、​​イスやデスク、コピー機、スキャナー、Wi-Fiなどが備えられ、​​即入居が可能になるのです。

一からオフィスを立ち上げると時間と労力がかかりますが、レンタルオフィスは最初から業務で必要なものが揃っているのが最大の特徴といえます。

レンタルオフィスの契約形態

レンタルオフィスは運営会社と契約するのが一般的です。

契約形態は、一般的な賃貸オフィスでは「普通借家契約」または「定期借家契約」が多いですが、レンタルオフィスでは、「サービス利用契約」や「施設利用契約」などの形態になります。

レンタルオフィスの契約は、スペースを間借りして契約期限を迎えるとそのまま返すというものです。

ただし、レンタルオフィス入会契約に基づくフロアーの一区画の賃貸借が建物賃貸借契約に該当するとされた裁判例もあります。

(参考:公益財団法人不動産流通推進センター「レンタルオフィスの利用契約は賃貸借契約に該当するか」)

https://www.retpc.jp/archives/21755/

レンタルオフィスの特徴

入居者数

レンタルオフィスの規模はさまざまで、1名から数十名が利用できます。

 

会議室等は​​他の契約者と共有

会議室やコピー機、インターネット回線などは、他の契約者と共有するため、コストを抑えることができます。

 

住所を利用できる

レンタルオフィスを借りると、個人事業主として住所を利用したり、法人登記が可能です。

 

利用料金

利用料金は、1室単位で数万円から数十万円とレンタルオフィスの規模やタイプなどによって異なります。

レンタルオフィスのメリット

すぐにビジネスを開始できる

レンタルオフィスは、すでにデスクやOA機器などの環境が整っているため、すぐにビジネスを開始することができます。

 

初期費用を抑えられる

都心部や駅近くなど、好立地でのビジネスが可能となり、内装工事費やインターネットの整備に関する工事費も不要なため、初期費用を抑えられます。

レンタルオフィスによっては、水道光熱費や設備のメンテナンス費が賃料の中に含まれているケースもあるのでランニングコストを抑えられます。

また、レンタルオフィス入居時の保証金は1〜3ヵ月程度ですが、一般的な賃貸オフィスであれば、6ヵ月〜12ヵ月分の保証金が発生する場合も多いです。

したがって、一般的な賃貸オフィスと比較すると、保証金の費用も抑えることが可能です。

 

オプションサービスを利用できる

レンタルオフィスによっては、カフェサービスや電話秘書代行サービスなど、オプションサービスを行っているところもあります。

 

短期間でも利用可能

一般的な賃貸オフィスの契約期間は2年程度となっており、途中解約すると違約金が発生する場合もあります。

レンタルオフィスであれば、1カ月単位または数ヶ月単位の場合も多く、短期間でも利用が可能です。更新料については、無料というケースも珍しくありません。

レンタルオフィスのデメリット

内装や設備の自由度が低い

レンタルオフィスは、あらかじめ用意された内装や設備のまま利用するため、リフォームなどは基本的にできません。

簡単な備品などの変更は、運営会社に問い合わせると良いでしょう。

 

プライバシー

レンタルオフィスは、簡易的な仕切りが多く、話し声が聞こえる場合があります。そのため、業務に関わる内容や個人情報が漏れてしまう可能性が否定できません。

まとめ

不動産業者は事業再構築補助金の対象とならないケースが多くあります。しかし、コンドミニアムやコテージ、貸別荘などの宿泊施設、一棟貸や一軒家貸切などの形態であっても採択事例があるのです。

また、テレワーク・リモートワークなどの普及でレンタルオフィスの需要も高まっています。

レンタルオフィス事業は、建築費や建物の改修費などが発生しますが、事業再構築補助金の補償対象となります。

これまでの事業を新分野展開、事業転換等で事業再構築補助金を活用してみてはいかがでしょうか。

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