ホテル運営とは?所有・経営との違い・運営形態・従事する方法について解説!
日本国内の多くのホテルでは、所有者・経営者・運営者が同一であるケースが非常に多いため、ホテル運営に携わるにはホテルオーナー(所有者)でなければ難しいと考えている方が多くいます。
しかし、ホテル運営に携わる方法には、自身がオーナーとなる方法を含めて複数の方法があります。
当記事では、ホテル事業における所有・経営・運営という基本的な概念から、ホテルの運営形態と運営に携わる方法、運営前に準備することについて解説していきます。
ホテル運営に興味がある方や従事してみたい方は、ぜひご参考下さい。
ホテルの所有・経営・運営の違いを明確に把握しよう!
ホテル事業・ホテルビジネスは、「所有」「経営」「運営」という3つの役回りから構成されています。
ホテル運営に従事したいのであれば、これら3つの役回りの概要・違い・関係性について理解しておく必要があります。
以下にそれぞれ解説していますので、ホテル運営について理解したい方はぜひご参考下さい。
所有
所有とは、ホテル事業を営むためのホテル物件を所有することです。いわゆるホテルオーナーとは、このホテルの所有者のことを言います。
ホテル運営を行うには、自身がオーナーとなってホテルを所有するだけでなく、オーナーからホテルを借りたり運営の委託を受けたりして運営を行うという方法もあります。
ホテルの所有者となるためにはホテル購入・建設等により多額の資金が必要となるため、現実的には後者の方法でホテル運営に携わる方法が一般的となります。
経営
ホテル事業における経営とは、利益を追求するための活動のことです。マーケティング・戦略立案・採用等の活動を行い、利益の最大化を目指します。
ホテル経営の形態には、大きく分けて以下の2種類があります。
・単独自社経営
業績の影響を大きく受けやすいがスピード感のある経営が可能。
・チェーンストア経営
大規模に幅広く展開できる反面、意思統一や変化に時間を要する。
経営に関しては、ホテルオーナーが行っている場合もあれば、別会社が行っている場合もあります。
運営
ホテル事業における運営とは、経営方針・経営戦略に基づき事業を推進することです。つまりホテルの実務に携わることを「運営」と呼びます。
経営と運営を同一の企業が担う場合も多いため混同されがちですが、役割は明確に異なる点に留意しておく必要があります。
ホテル運営に携わる方法には、以下のように複数のケースが存在します。
・所有・経営・運営をすべて自社で行う
・所有・経営を行う企業から運営の委任を受ける
・所有者からホテルを借りて経営・運営を行う
・所有・経営・運営を別々の会社が行う
ホテル運営に携わるのが目的であれば、このように複数の選択肢があることを知っておきましょう。
ホテル運営に携わる方法
ホテル運営は、上述の通り自身がホテルを運営していなくても携わることが可能であり、運営に携わる方法にも複数の種類があります。
ここでは、ホテル運営に携わる主な方法を4つご紹介します。ホテル運営に携わってみたい方は、ぜひご参考下さい。
所有直営方式
所有直営方式とは、ホテル所有者が自身で直接経営・運営を行う方式です。日本の多くのホテルが採用しており、ホテル運営形態のスタンダートとも呼べる方式です。
自社内ですべてを完結する方式であるため、自由度が高い経営・迅速な意思決定が可能であることが特徴。その反面、所有直営方式でホテルを運営するには資金力・企業体力が必要となります。
フランチャイズ方式
フランチャイズ方式とは、ホテル所有者がフランチャイジーとしてフランチャイズ本部(フランチャイザー)に加盟することで、本部のブランド・ノウハウを利用して経営・運営を行う方式です。完成度の高い優れたノウハウ・システムを利用できることや、ブランド・知名度を生かして集客を行えることがメリットです。一方でロイヤリティ・加盟金等の支払い義務が発生するため利益率の観点からはやや難がある点がデメリットとなります。
自身で所有・経営・運営全てを行う点においては所有直営方式と同じですが、本部のルールの範囲内でのホテル運営を行わなければならないため、自由に経営・運営を行えない点には留意しておく必要があります。
リース方式
リース方式とは、ホテル運営会社が所有者からホテル物件を借り受け、経営と運営を行う方式のことです。ホテル運営会社はリース料を支払う必要がありますが、営業利益は自社のものとなります。
ホテル運営会社は、ホテル物件を確保する資金が無くても経営・運営を行えるというメリットがある反面、経営状況に関わらずリース料を継続的に払わなければならない点がデメリットです。
マネジメント・コントラクト方式
マネジメント・コントラクト方式とは、ホテルの所有者・経営者の共同出資によりホテル運営会社の設立を行い、ホテル運営のすべてを委ねる方式のことです。
ホテル運営会社はホテル物件を借りてホテルの運営を行い、売上に応じた委託料として報酬を受け取ることができます。
同方式はホテル運営に専門家に運営を任せることを目的としており、質の高い運営を行えることや、所有者・経営者の負担を軽減できることが大きなメリット。世界中の多くのホテルで採用されています。
ホテル運営を始めるにあたって準備すべきもの
ホテルの運営を始めるには、上記いずれの方法でホテル運営に携わる場合においてもホテル物件の確保だけでなくさまざまな準備が必要となります。
ここでは、ホテル運営を始めるにあたって準備すべきものをご紹介します。これからホテル運営に従事する方や、ホテル運営に興味がある方は、ぜひご参考下さい。
開業・運営資金
ホテル運営を始める際には、どのような形態で運営に携わるかによって異なりますが、以下のような開業・運営のための資金が必要となります。
■ホテル物件取得費
・土地代
・物件建設費用
・物件購入費用
・改装費用
・設備・備品取得費用
等
■人材関連費
・募集・採用費用
・人件費(運転資金として半年分目安)
■広告宣伝費
・広告宣伝費用
・販売促進費用
・販促物制作費用
等
これらを合計すると、1,000万円~3,000万円程度は必要となってくるため、事前に見積もっておくことが重要。決して安くはない出費となるため、居抜き物件を検討するなどコスト削減の工夫を行うことも必要となってきます。
許認可・資格の取得
ホテル運営にはさまざまな法律が絡んでくるため、適切なサービスを提供するためには各種許認可・資格を事前に取得しておく必要があります。必要となる許認可・資格はホテルの運営形態によって異なりますが、一般的には次のようなものが挙げられます。
・旅館・ホテル営業の許可
宿泊施設を運営するうえで必ず必要となるのが、旅館業法による許認可です。複数の種類がありますが、ホテル運営を行う場合は「旅館・ホテル営業」の許可を取得しておく必要があります。
・飲食店業許可
ホテル内で料理・お酒等の提供を行う場合は、管轄の保健所にて飲食店業許可を取得しておく必要があります。食品衛生責任者の配置も行わなければならないため、資格を取得するか有資格者を採用することも必須となります。
・公衆浴場営業許可
ホテル内で宿泊客以外に大浴場・サウナ等を提供する場合は、公衆浴場営業許可を取得しておく必要もあります。
・危険物取扱者
ホテル内のボイラー燃料の管理は危険物取扱者の配置が必須となっているため、有資格者を確保しておく必要があります。
・消防設備士
一定規模以上の施設には消化器・火災報知器等の消防設備を設置しておく必要がありますが、これらは消防設備士の有資格者しか取り扱うことが可能。実質的にホテル運営には配置しておくことが必須となります。
業務支援システムの用意
業務支援システムとは、ホテル業務を効率的かつスムーズに行うためのシステムのことです。近年のホテル運営ではシステムの活用が一般的となっているため、運営前には各種システムを完備しておく必要があります。
ホテル運営で活用される主な業務支援システムには、以下のようなものがあります。
・PMS
PMS(Property Management System)とは、ホテル運営に必要な業務を一元管理するためのシステム。予約・稼働状況・在庫・顧客情報・収支の管理、チェックイン・チェックアウト業務、帳票発行、データ集計・分析等を同システムひとつで行うことができます。
ホテル運営の基幹となるシステムであるため、自社に合ったシステムを選定・導入することが重要です。
・サイトコントローラー
サイトコントローラーとは、複数の予約サイト(OTA)を一元管理するシステム。PMSとの連携も可能となっており、予約サイトを個別に管理するよりも遥かに効率的な管理を行うことができます。
ダブルブッキングを防ぐ機能等も搭載されており、ホテル運営に予約サイトを活用するのであれば必須のシステムとなります。
貸別荘運営も検討してみよう
ホテル運営に携わるには、ホテルオーナーを見つけて運営を請け負う場合においても自身がホテルを所有して運営を行う場合においても、大々的な準備が必要となります。
ホテル運営に興味はあるけれども、参入障壁を突破できない方や抵抗がある方は、貸別荘の運営を検討してみてはいかがでしょうか。
貸別荘とは、旅館業における簡易宿所営業に分類される宿泊施設。運営自由度が高くニーズも見込めるため、現在多くの方が参入しているトレンドのビジネスモデルです。貸別荘であれば、いわゆるホテル事業を構成する所有・経営・運営すべてを自ら行うことができるため、思い通りのビジネスを作れるというメリットもあります。
弊社では、貸別荘の開業・運営を検討している方へワンストップのサポートを提供しています。興味のある方は、お気軽にお問い合わせ下さい。
まとめ
ホテル運営への携わり方・従事する方法についてご紹介してきました。ホテル運営に携わるにはさまざまな方法があるため、資本が無い場合やホテルを所有できない場合においても、運営に従事することは可能です。
しかし、ホテル運営に携わるには相応の障壁があることも事実。近年では宿泊ニーズの多様化に伴い、貸別荘のニーズも高まっているため、宿泊施設の運営に興味がある方はこちらも検討してみるのもおすすめです。
弊社では貸別荘の開業・運営を検討している方の相談も承っていますので、興味がある方はお気軽にお問い合わせ下さい。